ガラスの種類|用途に応じた選び方

建築、インテリアまで、あらゆる場面で使われる「ガラス」

一見同じように見えるガラスでも、その種類によって性能や機能、見た目に大きな違いがあります。

フロートガラス

最も一般的で、ガラスの基本とも言えるのがフロートガラス(普通板ガラス)です。

ガラスを溶かして錫の上に浮かべ、平滑な板状に成形する「フロート法」によって製造されるため、表面が平らで透明度の高い仕上がりになります。

あわせて読みたい
【保存版】フロートガラスとは? フロートガラス(float glass)は、建築業界で最も広く使用されているガラスの一種です。その透明度と均一な厚み、強度、加工のしやすさから、多くの建築プロジェクトで...

強化ガラス

普通のガラス(フロートガラス)を約700℃まで加熱し、その後ガラス表面に空気を吹き付け均一に急冷。表面に圧縮層をもたせることで強化ガラスになります。

外圧に対し、同じ厚さのフロートガラスと比べて3~5倍程度の強度を持っています。

一番良く見かける強化ガラスはお店の入り口などに使われる強化ガラスドア「テンパードア」でしょう。
デザイン性、安全性に優れたシンプルなガラスドアです。その他、ガラスのフェンスなどにも利用されます。

あわせて読みたい
強化ガラス 強化ガラスは割れにくいよう熱処理を施したガラスです。 普通のガラス(フロートガラス)を約700℃まで加熱し、その後ガラス表面に空気を吹き付け均一に急冷。表面に圧縮...

合わせガラス

合わせガラスは、2枚以上のガラスの間に「中間膜」を挟みこんで製造されるガラスです。
この中間膜の役割は、ガラスが割れた際に破片が飛び散るのを防ぐことや、特定の機能を追加することです。

近年では、安全性だけでなく防犯性や快適性を向上させるため、中間膜にさまざまな機能を持たせた製品が増えています。

あわせて読みたい
合わせガラスとは? 誕生秘話から特長まで徹底解説 合わせガラスは、2枚以上のガラスの間に樹脂製の膜(中間膜)を挟み、熱と圧力で圧着したガラスです。 省エネや防犯、快適性への意識が高まる中、住宅用ガラスにおいても高機能ガラスへの注目が高まっています。 その中でも、合わせガラスは、安全性と快適性を兼ね備えた人気のガラスです。

複層ガラス

2枚のガラスの間に中空層(空気やアルゴンガスなど)を設けた構造のガラスで、断熱性能や遮音性能を向上させたものです。

この中空層が外気との温度差を和らげるため、冷暖房効率が上がり、省エネ効果も期待できます。

また、ガラス面の温度差が小さくなることで、結露の発生を抑える効果もあります。
近年の住宅では標準的に使われることが多くなってきています。

あわせて読みたい
複層ガラスとは?|特徴やメリットを解説 近年、新築の住宅には、ほとんどで採用されている複層ガラスですが、リフォームする際に複層ガラスに変える場合やリフォーム専用の複層ガラスもあり、活躍の幅が広がっ...

網入りガラス

網入りガラスとは、ガラス内部に金属製のワイヤーメッシュ(網)が組み込まれているガラスのことを指します。


主に、防火ガラスとしての役割を持ち、ビルや商業施設、学校など、多くの建物で使用されています。

あわせて読みたい
網入りガラス|その役割と効果 建築において、ガラスはデザイン性や採光性だけでなく、安全性や防火性などの機能も重要視されます。特に、網入りガラスは防火性を備えた特殊なガラスとして、長年にわ...

型板ガラス

型板ガラスは、表面に模様が施されたガラスです。

一般的な透明ガラス(フロートガラス)と比べて視線を遮る効果があり、プライバシー保護や装飾目的で使用されます。

あわせて読みたい
型板ガラスとは? 知っておきたい特徴、用途、種類、選び方 型板ガラスは、表面に模様が施されたガラスです。 一般的な透明ガラス(フロートガラス)と比べて視線を遮る効果があり、プライバシー保護や装飾目的で使用されます。 1...

カラーガラス

カラーガラスとは、色彩豊かなデザインを実現するために、ガラスに色を加えた製品です。

ガラスそのものに色を混ぜる方法や、裏面に色を吹き付ける方法など、さまざまな製造技術によって作られています。

あわせて読みたい
カラーガラスで彩る|空間デザイン カラーガラスとは、色彩豊かなデザインを実現するために、ガラスに色を加えた製品です。ガラスそのものに色を混ぜる方法や、裏面に色を吹き付ける方法など、さまざまな...

すりガラス

すりガラスとは、普通の透明ガラス(フロートガラス)に細かい傷をつける加工を施したガラスです。
加工法はサンドブラストとも呼ばれ、細かい砂をガラスに吹き付けて表面を削り、乳白色の曇りを作り出します。

この加工により、ガラスの向こう側がぼんやりとしか見えなくなり、プライバシーを守るために使用されます。

あわせて読みたい
すりガラス|用途や違いについて 【すりガラスとは?】 すりガラスとは、普通の透明ガラス(フロートガラス)に細かい傷をつける加工を施したガラスです。加工法はサンドブラストとも呼ばれ、細かい砂をガ...

高透過ガラス

通常のガラスに比べて鉄分を大幅に抑えたガラスで、透明度が非常に高く、色味のないクリアな視界が得られます。
ショーケースや展示スペースなど、被写体本来の色や質感を正確に見せたいシーンに適しています。

見た目の美しさに加え、ガラス特有の緑がかりが少ないため、ハイグレードな印象を与えることができます。

あわせて読みたい
高透過ガラス 【高透過ガラスとは?】 高透過ガラスはガラスの製造の際に鉄分の含有量を少なくすることで、ガラス特有の青みをおさえた透明感のあるガラスです。フロート板ガラスより...

低反射ガラス

低反射ガラスは、その名の通り、表面での光の反射を抑えるために特別な加工が施されたガラスです。

通常のガラスは、表面で光が反射しやすく、映り込みやギラつきが発生することがあります。
この反射が視認性を損ねる原因となるため、展示物の美しさやディテールを伝えたいショーケースなどでは不向きです。

低反射ガラスは、この反射を最小限に抑えることで、展示物をより引き立てる効果があります。

あわせて読みたい
低反射ガラスとは?|特徴や用途について 低反射ガラスは、内装ガラスとしての利用価値が非常に高い素材(建材)です。特にショーケース(ディスプレイ)用のガラスとして広く採用されています。この記事では、...
出典:diamondcoatings.co.uk

防火・耐火ガラス

建築基準法に基づいて認定されたガラスで、一定時間、炎や高熱に耐える性能を持っています。
火災時の延焼を防ぐ「防火性能」だけでなく、熱の侵入を防ぐ「遮熱性能」を持つ製品もあり、用途に応じた選定が必要です。

法規対応として、特定の場所では設置が義務付けられているため、建築計画時に確認しておく必要があります。

あわせて読みたい
防火・耐火ガラス|ガラスで守る安心と安全 火災は、人命や財産を脅かす重大な災害です。 建築物における防火対策は、火災の発生を抑制し、延焼を防止することで、被害を最小限に抑えるために不可欠です。 その中...
出典:AGC ピロベル

耐熱ガラス

耐熱ガラスは、高温に耐えることができる特別なガラスです。

通常のガラスは急激な温度変化に弱く、割れやすいのですが、耐熱ガラスはそのような条件下でも安定しており、割れにくい特性を持っています。

あわせて読みたい
耐熱ガラスとは?強化ガラスとの違いも解説 ガラスは私たちの日常生活に欠かせない素材ですが、その種類や特性は多岐にわたります。今回は、耐熱ガラスと強化ガラスの特徴、製造方法、用途、そして両者の違いにつ...

防犯ガラス

防犯ガラスは、泥棒などによる侵入を防ぐことを目的とした高機能ガラスです。
基本構造は「合わせガラス」と同様に、2枚のガラスの間に中間膜を挟んで、貫通しにくい特性を持たせています。

外部からの強い衝撃に対しても短時間で破壊することが難しく、空き巣の「侵入をあきらめさせる」抑止効果が期待されます。

あわせて読みたい
防犯ガラスで安心安全な暮らしを実現!  近年、空き巣などの侵入被害が深刻化しています。 こうした状況の中で、防犯ガラスは被害を防ぐための有効な手段として注目されています。 本記事では、防犯ガラスの実例をいくつか紹介し、その効果について詳しく解説します。

まとめ

ガラスの種類は非常に多く、それぞれの性能や特性を理解することが、目的に合ったガラス選びの第一歩です。
安全性、断熱性、意匠性、法的要件など、考慮すべき要素は多岐にわたります。

用途に応じた最適なガラスを選定することで、より安心で快適、かつ魅力的な空間を実現することができます。

お問い合わせ

ガラス工事.comでは、ガラス工事、ミラー工事のご相談を承っております。

お気軽にお問い合わせください。

あわせて読みたい
ガラス工事 当社では、お客様のご要望に合わせて最適なガラス工事をご提案させていただいております。 ガラス、鏡の仕入先や施工依頼でお困りの方の力になれるよう、適正価格でのガ...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!