合わせガラスとは? 誕生秘話から特長まで徹底解説

ガラスは私たちの生活に欠かせない素材ですが、割れた時に破片が飛び散る危険性があります。

そこで誕生したのが、安全性と機能性を兼ね備えた「合わせガラス」です。

本記事では、合わせガラスの誕生秘話から特徴まで幅広く解説します。

合わせガラスとは?

合わせガラスは、2枚以上のガラスの間に樹脂製の膜(中間膜)を挟み、熱と圧力で圧着したガラスです。

省エネや防犯、快適性への意識が高まる中、建築用ガラスにおいても機能性を持ったガラスへの注目が高まっています。

その中でも、合わせガラスは、安全性と快適性を兼ね備えた人気のガラスです。

【検証動画】ショットバック試験 各種ガラス・飛散防止フィルムの効果を検証 00:46 合わせガラス3mm+3mm
出展:glassforum.org「合わせガラスの加圧炉」
中間膜を熱と圧力で圧着する。

合わせガラスの誕生秘話:安全への追求が生んだ革新的なガラス

合わせガラスの誕生は、ちょっとした偶然からでした。

1903年のある日、フランスの科学者「エドゥアール・ベネディクトゥス」は、誤ってフラスコを床に落としてしまいました。

床に落ちたフラスコは当然割れてしまったのですが、その破片が飛び散ることはありませんでした。

落ちたフラスコの中には、ニトロセルロース溶液が乾燥した状態で残っており、フラスコに張り付いていたのです。

これによって、割れた破片が飛び散ることがありませんでした。

その後、この科学者は自動車のフロントガラスで負傷した少女の新聞記事を読み、ガラスにニトロセルロースを挟み込むことを思いつきました。

こうして合わせガラスが誕生したのです。

出展:sutori.com「Edouard Benedictus 」

「エドゥアール・ベネディクトゥス」

ベネディクトゥスは1903年のある日、実験室で床にフラスコを落としてしまったが、そのほとんどは原型を留めていた。
ベネディクトゥスは、器具を密封するのに用いられていたコロジオンによってできた膜が内部からガラスを支えていることを発見した。
数日後、ベネディクトゥスは新聞を読んでいると飛んできたフロントガラスによって死亡事故が起こったという記事を読んだ。
ベネディクトゥスは実験を開始し、すぐに彼がTriplexと読んだ初めてのガラスパネルを作り上げた。
このパネルはコロディオンによって2つのガラス板が接着されている。

出典:ウィキペディア 

合わせガラスはどこで使うの?

合わせガラスは、自動車事故の記事がきっかけで誕生し、最初は自動車のフロントガラスで使用されていました。

ですが、特殊フィルムによって以下の様な機能が注目されたことで建材としても利用されるようになったのです。

  • 割れたガラスが飛散しない
  • 衝突物が貫通しにくい
  • 1枚のフロートガラスと同等の可視光透過率
  • 紫外線をカットできる

安全性能の高いガラスは、戸建住宅や集合住宅だけでなく、オフィスや店舗、商業施設のほか、学校や病院での使用も推奨されています。

出典:AGC https://www.asahiglassplaza.net/category/laminated/

合わせガラスの特長とは?

1. 安全性を高める:飛散防止・防貫通・防犯効果で安心の暮らし

合わせガラス最大の特長は、万が一ガラスが破損した場合でも、破片が飛び散りにくいことです。

これは、2枚のガラスの間に挟み込まれた中間膜が、破片を接着し、飛散を抑制する役割を果たすからです。

近年増加傾向にある地震や台風などの自然災害だけでなく、いたずらや空き巣などの犯罪対策にも効果を発揮します。

特に、小さなお子様がいるご家庭や、介護が必要な方がいらっしゃるご家庭では、安全性の高い合わせガラスを選ぶことを強くおすすめします。

合わせガラスには、さらに以下の防犯効果が期待できます。

  • 防貫通性能: 厚さや膜の種類によって異なりますが、バールなどの工具による穴あけや突き破りを防ぎます。
  • 防犯フィルム: 防犯フィルム入りの合わせガラスは、ガラスの破損時間を遅らせ、侵入者を諦めさせる効果があります。

2. 快適性を向上させる:防音・遮音・断熱効果で心地よい空間

合わせガラスは、通常のガラスに比べ、防音・遮音性能にも優れています。
中間膜が外部からの音を振動エネルギーに変換することで、室内への音の侵入を抑制します。

騒音が多い場所にお住まいの方や、静かな環境で集中したい方におすすめです。
特に、道路沿いの住宅や、線路近くにお住まいの方には、防音効果の高い合わせガラスが効果的です。

さらに、合わせガラスは、通常のガラスに比べ断熱性能にも効果が期待できます。
中間膜が熱伝導を抑えることで、室内の熱を外に逃がさず、冬場の暖房効率を上げ、夏場の冷房効率を上げます。

断熱性能の高い合わせガラスを選ぶことで、光熱費を節約し、快適な室温を維持することができます。

合わせガラスの進化系

合わせガラスはそのまま使っても高い防犯性能がありますが、特殊フィルムの代わりにポリカーボネートを挟むことでより高い防犯性能を発揮できます。

ポリカーボネートならバールやハンマーを使ってガラスを割ろうとしても、破られることがありません。

また、合わせガラスを使った複層ガラスなら、合わせガラスの機能を持ったまま遮熱・断熱効果も期待できます。

間に挟む特殊フィルムの色は指定できるの?

色の付いたカラーフィルムや、柄のあるフィルムを挟み込んだ合わせガラスも存在します。

カラーバリエーションのある合わせガラスや柄のある合わせガラスは、店舗やホテルなどのパーテーション、壁装飾などに使用されています。

まとめ

合わせガラスの始まりは、100年以上前とかなり歴史は古いです。

しかも、その始まりが小さな偶然からでした。

長らく自動車のフロントガラスで使われてきた歴史から、今では多くの住宅やオフィスの安全を守っているのです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!