窓から降り注ぐ太陽の光は、空間に開放感と明るさをもたらしてくれます。
しかし、夏場の強い日差しは室内の温度を急激に上昇させ、冬の西日はまぶしさを引き起こします。
これまでは、カーテンやブラインド、あるいは断熱性の高いペアガラスなどで対応するのが一般的でした。
しかし、これらの方法では外の景色が見えなくなったり、手動での調整が煩わしかったりといったデメリットがありました。窓は外の世界と室内をつなぐ大切な役割を担っているからです。
そこで、この問題を解決し、光と熱のバランスを自動で最適に保つ、これまでにない革新的なガラスが、窓の可能性を広げています。
それが、サンゴバン株式会社の自動日射調整ガラス「SAGE GLASS(セージガラス)」です。
【サンゴバン株式会社】自動日射調整ガラス SAGE GLASS
https://www.saint-gobain.co.jp/jp/glass/products/SAGE
※記事内画像:出典 サンゴバン株式会社『自動日射調整ガラス SAGE GLASS』
目次
究極の快適性を実現するダイナミックなガラス
SAGE GLASSは、エレクトロクロミック技術という特殊な技術を採用しています。
このガラスは、室内に設置された照度センサーが日差し(光量)を読み取り、それに応じてガラス自体の色を自動で変化させます。
具体的には、日差しが強いときはガラスの色が濃くなり、光の透過率を下げて日射熱を効果的に遮断します。
一方、日差しが穏やかなときは透明に近づき、自然光を最大限に取り込みます。
この「動的に性能を変化させる」という点が、SAGE GLASSの最大の特徴です。
従来のガラスは、性能が常に一定(静的)であるため、夏場の遮熱性を重視すれば冬は光が不足し、冬の採光性を重視すれば夏は暑くなってしまうという、相反する課題を抱えていました。
しかし、SAGE GLASSは1枚のガラスでありながら、可視光透過率を約60%から1%まで、日射熱取得率を約0.41から0.06までと、幅広い性能を自由自在にコントロールできるのです。
これにより、季節や時間帯、天候に関係なく、常に室内を最も快適な状態に保つことができます。
ブラインドやカーテンが不要に
SAGE GLASSを導入すれば、窓のブラインドやカーテンは不要になります。
これにより、いくつかのメリットが生まれます。
- 景観の確保:景色を遮ることがなくなります。
これは、オフィスビル、学校、病院、レストランなど、眺望が重要な建物において大きな利点となります。 - デザイン性の向上:窓周りがすっきりし、建物のデザイン性を高めます。
- 手間の削減:ブラインドやカーテンの開け閉め、メンテナンスの手間がなくなります。
- 視線のコントロール:手動でガラスを濃くすることで、外からの視線を遮ることも可能です。

省エネと生産性の向上に貢献
SAGE GLASSは、単に快適性を向上させるだけでなく、建物のエネルギー効率にも大きく貢献します。
強い日差しを自動で遮断するため、夏場の冷房負荷を大幅に軽減できます。
逆に、冬場は太陽の熱を適切に取り込むことで、暖房効率を向上させます。
これにより、冷暖房コストを削減し、省エネ基準の厳しい現代の建築ニーズにマッチしたソリューションとなります。
実際に、フランス教育省の文明研究センター「フランス国立極東学院(EFEO)」の京都支部では、このSAGE GLASSがアジアで初めて導入されました。
強い西日を遮る必要がありましたが、設計者からは「ルーバーやブラインドを使うとデザイン性が損なわれる」という懸念がありました。
そこで、SAGE GLASSを採用したことで、ガラスのみで強力な日射遮蔽を実現し、デザイン性と利便性を両立させることができたのです。また、この建物は「書籍が日に焼けないガラス」として、大切な蔵書を守る役割も担っています。
このように、SAGE GLASSは、利用者の快適性、生産性、そして建物の環境性能を同時に向上させる、次世代の建築材料といえるでしょう。

【サンゴバン株式会社】フランス国立極東学院にサンゴバンの自動日射調整ガラス”SAGE”を導入
https://www.saint-gobain.co.jp/jp/case-study/sage
SAGE GLASS Harmony™
SAGE GLASSには「Harmony™」というモデルがあります。
これは、これまでの全面着色に加えて、1枚のガラス内で上から下へ、あるいは下から上へとグラデーションで濃淡を表現できる画期的な製品です。
多くの場合、まぶしさ(グレア)の制御には窓全体を暗くする必要はありません。
Harmony™は、日差しが当たる部分だけを部分的に着色することで、必要な場所に必要なだけの遮蔽効果をもたらします。
これにより、快適性と美観、そしてエネルギー効率の最適なバランスを実現します。
モバイルアプリでさらにパーソナルな体験を
SAGE GLASSは、自動調整機能だけでなく、利用者自身がガラスをコントロールできるモバイルアプリも提供しています。
iOSとAndroidの両方に対応したこの便利なアプリを使えば、建物のどこにいてもガラスの着色レベルを簡単に調整できます。
例えば、特定の時間帯にだけ強い日差しを遮りたい、あるいは曇りの日でも少し明るさを抑えたいといった細かなニーズにも対応可能です。
精密技術の採用により、ガラスのゾーンごとに着色レベルを微調整したり、事前に設定しておいた「シーン」設定を呼び出して、特定の着色効果をワンタップで実現したりすることもできます。

まとめ
SAGE GLASSは、光と熱の課題を解決するだけでなく、居住者の快適性、生産性、そして建物の省エネ性を向上させる、まさに「超機能性ガラス」です。
オフィスビル、学校、病院、空港など、多くの人が集まる大型施設から、住宅まで、幅広い用途でその力を発揮します。
窓は、単に外と内を隔てるものではありません。
SAGE GLASSは、窓を「光と熱を最適に調整し、人々を快適に保つ、動的なインターフェース」へと進化させました。
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