玻璃(はり)とは?|ガラスのルーツと歴史を辿る

私たちの身の回りには、窓や建物、インテリアなど、さまざまな形でガラスが使われています。
この「ガラス」は、かつて日本では「玻璃(はり)」と呼ばれていた素材でもあります。

しかし、この身近な素材がどこで生まれ、どのような呼び名で日本に伝わってきたのかを、あらためて考える機会は多くありません。

本記事では、「玻璃(はり)」という言葉を起点に、ガラスの起源、日本に伝わった時期、そして呼び名がどのように変わってきたのかを整理します。

ガラスの起源|人類とガラスの最初の出会い

ガラスの起源は、今からおよそ5000年前、古代メソポタミア文明の時代までさかのぼるとされています。
当初のガラスは、現在のような透明な板状のものではなく、装身具や小さな容器、装飾のための素材として使われていました。

その後、古代エジプトでは製法が発展し、色付きガラスや成形技術が確立されていきます。
この時代のガラスは非常に貴重で、一般に広く使われるものではなく、宝石に近い価値を持つ素材として扱われていました。

つまり、ガラスは実用品として広まる以前に、特別な価値を持つ素材として人類の歴史に登場したものだと考えられます。

日本にガラスはいつ伝わったのか

日本にガラスが初めて伝わったのは、2~3世紀ごろとされています。
出土しているガラス製の玉や勾玉などから、中国や朝鮮半島を経由して伝えられたと考えられています。

さらに8世紀には、奈良・正倉院に多くのガラス製品が保管されました。
その中には、西アジア周辺で作られたとされるガラスも含まれており、当時すでに日本と海外との交流があったことが分かります。

この時代のガラスは国内で作られたものではなく、非常に貴重な舶来品として扱われていました。

「玻璃」「瑠璃」|もっとも古いガラスの呼び名

日本で使われたガラスの呼び名として、もっとも古いものが
「玻璃(はり)」や「瑠璃(るり)」です。

これらの言葉は、インドで使われていた言葉をもとに、中国を経由して日本に伝わったと考えられています。
仏教の経典にも登場し、「七宝」の一つとして扱われるなど、宗教や文化と結びついた言葉でもありました。

当時のガラスは、単なる材料というよりも、特別な意味を持つ存在として認識されていたことがうかがえます。

ビードロ・ギヤマン|ヨーロッパから伝わった呼び名

16世紀以降、ヨーロッパとの交易が始まると、日本には新しいガラス製品とともに、異なる呼び名が伝わります。

代表的なのが、

  • ビードロ(ポルトガル語 Vidro
  • ギヤマン(オランダ語 Diamant

です。

ビードロはガラス全般を指す言葉として使われ、ギヤマンは特に透明度の高いガラス製品を指す言葉として使われました。
これらの言葉は、主に長崎を中心に広まり、当時の舶来文化を象徴する呼び名となりました。

「ガラス」という言葉が使われるようになるまで

現在一般的に使われている「ガラス」という言葉は、オランダ語の Glas(グラス)に由来するとされています。

※英語の Glass と綴りは似ていますが、日本では英語よりも先に、オランダ語の Glas が伝わったとされています。

江戸時代の後半から明治時代にかけて、この呼び名が徐々に広まり、現在の表記と発音に落ち着いていきました。

また、漢字で「硝子」と書いてガラスと読むのは、原料に硝石を使った製法に由来するといわれています。
この表記は、明治初年に設立された官営の品川硝子製造所で使われたのが初めとされています。

近代化と板ガラスの広がり

20世紀に入ると、ガラスは大きな転換期を迎えます。
それまで限られた用途だったガラスが、建築材料として広く使われるようになったのです。

1907年には、日本で旭硝子(現・AGC)が設立され、板ガラスの工業化に成功しました。
これにより、住宅や建築物にガラスを安定して供給できるようになり、ガラスは特別な素材から、日常的に使われる建材へと変わっていきました。

建築素材としてのガラス|役割の広がり

近代以降、ガラスは光を通すためだけの素材ではなく、建築の一部として重要な役割を担うようになります。
大量生産が可能になったことで設計の自由度が高まり、建物の外観や室内空間の印象にも大きな影響を与えるようになりました。

さらに、強化ガラスや合わせガラス、複層ガラスなどの登場により、安全性や断熱性といった性能も大きく向上します。

PRODUCTS ガラスの種類

玻璃からガラスへ|呼び名の変化から見えること

「玻璃」「瑠璃」「ビードロ」「ギヤマン」、そして現在使われている「ガラス」。
これらの呼び名の変化は、その時代ごとにガラスがどのように扱われてきたかを映し出しています。

かつては宝石のように珍重され、
やがて工芸品として親しまれ、
そして現在では建築や暮らしに欠かせない素材となりました。

呼び名の移り変わりをたどることで、ガラスという素材が、人々の生活の中でどのような存在になってきたのかが、より分かりやすく見えてきます。

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