化学強化ガラスとは?| 強度と耐久性を備えた超高性能ガラス

化学強化ガラスは、改良を重ねながら進化し続けているガラスです。

このガラスは、特別な化学処理を施すことで、通常の強化ガラスより圧倒的に高い強度と耐久性を持つ優れた素材です。

薄くても驚くほど丈夫であり、多岐にわたる分野・用途で使用されています。

化学強化ガラスの仕組み

化学強化ガラスの強さの秘密は、「イオン交換」という化学処理にあります。

通常のガラスに 硝酸カリウム(KNO₃)の溶融塩処理 を施すことで、表面のナトリウムイオン(Na⁺)がカリウムイオン(K⁺)に置き換わります。

このカリウムイオンはナトリウムイオンよりも大きいため、表面に圧縮応力が生じ、ガラスの強度が飛躍的に向上します。

化学強化ガラスの製造プロセス

  1. ガラスの選定 → 強化に適したガラスを用意。
  2. 硝酸カリウム溶液に浸漬 → ガラス表面のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換。
  3. 圧縮応力の発生 → カリウムイオンがナトリウムイオンより大きいため、ガラス表面に圧縮応力が発生。
  4. 冷却処理通常の強化ガラスの約 5倍以上 の圧縮応力を持つ「化学強化ガラス」が完成。

この処理により、 薄くても割れにくいガラスが誕生します。

化学強化ガラスの特徴

自然破損しにくい
化学強化ガラスは引張応力が小さく、自然破損のリスクが非常に低いです。

薄くても高強度
1mm以下の薄いガラスでも、圧倒的に高い強度を確保でき、軽量化が可能です。

傷がつきにくい
高い圧縮応力が表面を守るため、 引っ掻き傷や摩耗に強い のも特徴。
長期間、美しい状態を維持できます。

設計の自由度が高い
曲げガラスや特殊な形状の加工が可能なため、様々な建築デザインにも柔軟に対応できます。

物理強化ガラスとの違い

物理強化ガラス(風冷強化ガラス)と化学強化ガラスの 最大の違い は、強化の仕組みにあります。

項目化学強化ガラス物理強化ガラス
強化方法イオン交換(化学処理)急冷処理(熱処理)
引張応力ほぼゼロ(自然破損しにくい)中央部に発生(自然破損のリスクあり)
加工の自由度高い(曲げ加工・薄型化が可能)制限あり(一定の厚みが必要)

安全性試験とJIS規格

化学強化ガラスは、 JIS(JIS R3206, 3205) の厳しい基準をクリアしています。

特に「ショットバック試験」では、45㎏のショットバッグ(鉛粒入り)を一定の高さから落とし、衝撃に対する耐性が検証されています。


【YouTube】三芝硝材株式会社
 化学強化ガラス_ショットバック試験

施工事例「曲げガラステーブル」

ガラステーブルの製作を担当いたしました。

3次元のガラスの曲げ加工を行い、化学強化ガラス仕様になっております。

製作にはかなりの期間がかかりましたが、オフィスの顔となるようなダイナミックで特徴的な仕上がりになりました。

まとめ

化学強化ガラスは、 強度・耐久性・加工の自由度のすべてを兼ね備えたガラス素材です。

通常の強化ガラスと比べても自然破損のリスクが低く、薄くても高い強度を確保できるため、さまざまな分野での活用が期待されています。

🔹 薄くても驚くほど丈夫
🔹 デザインの自由度が高く、幅広い用途に対応

今後も技術革新とともに、より広範囲な分野での活用が期待されます。

お問い合わせ

お客様のご要望に合わせて最適なガラス製品やガラス工事をご提案させていただいております。

ガラス・鏡の事でしたら足立硝子へお気軽にお問い合わせくださいませ。


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