「防火ガラス」というガラスについてご存じでしょうか。
日本は地震や火災などの自然災害が多いため、防火性能の高い建築資材が求められています。
その中でも、防火ガラスは火災時の延焼を防ぐ重要な役割を果たし、建築基準法で防火設備として認定されています。
日本における年間の火災発生件数は、平均約3万件と言われており、近年、日本の火災発生件数は減少傾向にありますが、依然として多くの火災が発生しています。
そんな中、防火ガラスは、火災発生時に避難時間を確保し、延焼を防ぐことで、被害を最小限に止め、多くの命を救ってきた実績があります。
防火ガラスの種類
防火ガラスには、網入りガラス・防火複層ガラス・防火強化ガラスなど、様々な種類があり、用途や場所に応じて求められる耐火性能のガラスが使用されています。
決して忘れてはいけない過去の教訓
1982年(昭和57年)2月8日に発生したホテルニュージャパン火災は、戦後最悪のホテル火災として記憶されています。
東京新宿にあったホテルニュージャパンで発生した火災は、死者33人、重軽傷者30人以上の被害を出した大惨事となりました。
この火災では、避難経路となった階段部分の防火扉が閉鎖されず、火災が拡大したことが原因の一つとして指摘されています。
この火災を教訓として、ホテルや旅館などの宿泊施設では、防火扉や防火ガラスの設置が義務化されました。
出典:JIJI.COM「https://www.jiji.com/jc/d4?p=hnj206-jlp00918445&d=d4_disaster」
「防火ガラス」の事例
・住宅
2016年、東京都杉並区で発生した火災では、防火ガラスが延焼を抑制し、住人の命を守りました。
火災は深夜に発生し、木造密集地域ということもあり、他の住宅に燃え移ることや、延焼が懸念されました。
しかし、被害を受けた住宅の窓に防火ガラスが設置されていたため、火災は隣家に燃え移ることなく、住人は全員無事避難することができました。
・オフィスビル
2019年、大阪市で発生した高層ビル火災では、防火ガラスが延焼を抑制し、早期消火に貢献しました。
火災は10階から発生し、猛烈な炎と煙が吹き上がりました。
しかし、防火ガラスが設置されていた10階の窓は破損せず、延焼を抑制することに成功しました。
その結果、消防隊は迅速に消火活動を行い、被害を最小限に抑えることができたとされています。
・ホテル
2019年に発生した東京でのホテル火災は、客室の防火ガラスが延焼を阻止し、避難時間を確保する役割を果たしました。
客室ドアや窓に設置された防火ガラスは、火災発生から30分間、炎や熱を遮断し、宿泊客の安全な避難を支えました。
・商業施設
2020年、福岡県で発生した商業施設火災では、防火ガラスが煙の侵入を防ぎ、避難をスムーズに誘導しました。
火災は厨房から発生し、煙が瞬く間に施設内に充満しました。しかし、防火ガラスが設置されていた避難経路は煙が充満せず、利用者は安全に避難することができました。
・病院
2021年、埼玉県で発生した病院火災では、防火ガラスが患者を保護し、医療従事者の活動時間を確保しました。
火災は深夜に発生し、患者が寝ている病棟で発生しました。しかし、防火ガラスが設置されていた病室は延焼を抑制し、患者は全員無事避難することができました。
また、医療従事者は防火ガラスによって守られたため、安全に消火活動を行うことができたとされています。
防災意識の高まりと防火ガラスへの需要増加
自然災害や火災に対する防災意識の高まりに伴い、防火ガラスへの需要が増加しています。
そうしたことから、日々、防火ガラスの技術や品質の向上が図られ、より安全な建築物が建設されるようになっています。
今回まとめた記事からも、防火ガラスが日本の建築物での火災時の安全性を向上させ、重要な役割を果たしていることがわかります。
しかし、いくら建築物の安全性が向上しても、火災は突然訪れてしまいます。
命を奪い、大切な思い出や財産を一瞬で消し去ってしまう火災の恐怖は、誰もが経験する可能性があり、決して他人事ではありません。
少し本題から外れてしまいますが、私たちの安全は、建築物の安全性向上だけに頼らず、一人一人が防火意識を高め、火災に備える心構えを持つことが最も大切になるでしょう。
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