ドバイには数々の革新的な建築物がありますが、その中でもひときわ目を引くのが「スカイ・ビューズ(Sky Views)」のガラスの滑り台です。
このスリリングな体験を提供するガラス滑り台は、単なるアトラクションではなく、最先端の建築技術が詰め込まれた建築物でもあります。
目次
スカイ・ビューズのガラス滑り台とは?
スカイ・ビューズのガラス滑り台は、ドバイのアドレス・スカイ・ビュー(Address Sky View)タワーに設置されたアトラクションで、高さ約220メートルの位置にあります。
53階と52階をつなぐ長さ12メートルのガラス製滑り台は、建物から突き出す構造で、まるで宙に浮いているかのような感覚を味わうことができます。
画期的なガラス構造
このガラス滑り台の最大の特徴は、その構造と素材にあります。
一般的なガラスではなく、特殊な強化合わせガラスを使用しており、高い透明性と強度を兼ね備えています。
具体的には、以下のような構成になっています。
- ガラスの透明度:通常のフロートガラスに比べて鉄分が少なく、色味の影響を受けにくいため、クリアな視界を確保。
- SGP(SentryGlas Plus)中間膜:PVB(ポリビニルブチラール)よりも剛性が高く、割れても破片が飛び散りにくい。
- 4枚の合わせガラス構造:強化ガラスを4層重ね、強度を向上。
この設計により、利用者の安全を確保しながら、最大限のスリルを提供することが可能になっています。
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※出典:koltayfacades.com
建築設計とエンジニアリングの挑戦
この滑り台の設計を担当したのは、Koltay Facadesという建築エンジニアリング会社です。
彼らは以下のような課題を克服しました。
梁構造の安定性
ガラス滑り台は、建物の外側に突き出る形で設置されており、その荷重を支えるため梁の強度が極めて重要です。
固定ポイントを強化し、フレームとガラスパネルの結合部分には特別な補強を施しました。
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ドバイの過酷な気候への対応
ドバイの高温多湿な環境では、ガラスの膨張やシール材の劣化が懸念されます。
そのため、ガラスとシリコーン接着材には、温度変化や湿度に強い特殊な素材を使用し、長期間の耐久性を確保しています。
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振動と衝撃の対策
滑り台の利用中には一定の振動や衝撃が発生します。
これに対応するために、ガラスの支持構造には衝撃吸収システムが組み込まれています。
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安全対策と利用規定
ガラス滑り台はスリル満点のアトラクションですが、安全性にも最大限の配慮がされています。
利用者は以下の条件を満たす必要があります。
- 体重制限:30kg〜150kg
- 身長制限:120cm〜200cm
- 服装規定:スカートやハイヒールは禁止。滑り台のガラスを傷つける可能性のあるアクセサリーも外すこと。
- 専用の滑走マット使用:摩擦を減らし、ガラス表面を保護。
- 滑走時の注意:ガラスに直接手をつかないこと、仰向けやうつ伏せで滑らないこと。
未来の建築技術としての可能性
スカイ・ビューズのガラス滑り台は、単なるアトラクションにとどまらず、建築デザインとガラス技術の進化を象徴するものでもあります。
このような高強度ガラスと革新的なエンジニアリングの組み合わせは、今後の都市設計や超高層建築にも応用される可能性が高いです。
例えば、
- ガラス製の橋や展望デッキのさらなる発展
- 浮遊感を演出する建築デザインの実用化
- 軽量かつ耐久性の高いガラス建材の開発
こうした技術の進化により、建築の可能性がさらに広がっていくことでしょう。
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まとめ
ドバイのスカイ・ビューズのガラス滑り台は、世界トップクラスのガラス技術と建築工学が融合した建築物です。
4枚の強化合わせガラスを使用し、安定した梁構造で支えられたこの滑り台は、スリリングな体験を提供すると同時に、現代建築の最前線を示しています。
今後も、このようなガラス建築の進化を注視しながら、新たな建築の可能性を探っていきたいですね。
参照
【Koltay Facades】
https://koltayfacades.com