火災は、人命や財産を脅かす重大な災害です。
建築物における防火対策は、火災の発生を抑制し、延焼を防止することで、被害を最小限に抑えるために不可欠です。
その中でも、防火(耐火)ガラスは、火災時に炎や熱の影響を遮断し、延焼を防止する重要な役割を担っています。
目次
防火(耐火)ガラスの役割と必要性
火災発生時、炎や煙は建物内を急速に広がり、避難経路を遮断するだけでなく、有毒ガスを発生させ、人命に関わる危険を生じさせます。
防火(耐火)ガラスは、これらの脅威から人々を守るために、以下の重要な役割を果たします。
- 延焼防止: 火炎や高温ガスの伝播を遮断し、隣接する部屋や建物への延焼を防止します。
- 避難経路の確保: 高温を遮断することで、避難時間を確保し、安全な避難経路を確保します。
- 煙の拡散抑制: 一部の耐火ガラスは、気密性を高めることで煙の流入を抑制し、避難時の視界を確保します。
- 視認性の維持: 透明性のあるガラスを用いることで、避難時の視認性を向上させ、安全な避難をサポートします。

建築基準法における防火(耐火)ガラスの規定
日本の建築基準法では、建物の用途や規模に応じて、防火・耐火性能が求められています。
防火(耐火)ガラスは、主に以下の区分に対応する形で使用されます。
- 防火設備
- 特定防火設備(旧:甲種防火戸):一定時間、火炎や煙を遮断する性能を持つ防火設備。
- 防火設備(旧:乙種防火戸):特定防火設備に比べて耐火性能は低いが、延焼を抑制する役割を持つ防火設備。
- 耐火構造
- 建築物の主要構造部を耐火性能のある材料で構成する必要があり、耐火ガラスが適用可能。
- 建築物の主要構造部を耐火性能のある材料で構成する必要があり、耐火ガラスが適用可能。
- 防火区画
- 延焼の危険があるエリアに対し、ガラスも含めた防火設備の設置が必要。
これらの基準を満たすガラスを選定することで、建築物の安全性を確保することができます。

防火(耐火)ガラスの種類と特徴
防火(耐火)ガラスには、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
代表的な種類としては、以下のものが挙げられます。
・網入りガラス(ワイヤーガラス):火災時に破損してもガラスが飛散しにくい。
・耐熱強化ガラス:熱割れしにくく、ワイヤーなしでも耐火性能を持つ。
・耐火積層ガラス:中間層が高温で膨張し、遮炎性能を発揮する。
近年では、防火性能に加えて、遮熱性や遮音性などの機能性を付加した高機能な防火(耐火)ガラスも開発されています。

AGCの耐火・遮熱積層ガラス「ピロベル」
AGCが提供する防火(耐火)ガラス「ピロベル」は、板ガラスとケイ酸ソーダ系樹脂を交互に積層した耐火・遮熱積層ガラスです。
火災時にケイ酸ソーダ系樹脂が発泡し、遮熱層を形成することで、熱放射を遮断し、避難経路や時間を確保する役割を持ちます。
【AGC ピロベル】耐火・遮熱積層ガラス
https://www.asahiglassplaza.net/products/pillowbell

熱遮断性能
ピロベルは火災時にケイ酸ソーダ系樹脂が発泡し、不透明な遮熱層を形成することで、加熱側の熱を遮断します。
これにより、60分間の耐火・遮熱性能を維持し、避難の時間を確保します。
耐貫通性と安全性
ピロベルは、ガラスとケイ酸ソーダ系樹脂の積層構造により、万一破損してもガラス片が飛散しにくく、衝撃物が貫通しにくい設計になっています。
遮音性能
JIS A 4706のT-3等級相当の遮音性能を持ち、図書館や病院、学校など、静粛性が求められる場所に適用可能です。
安全で透明な防火区画の実現
ピロベルは、透明な耐火間仕切り壁として使用でき、防火区画を設けながらも閉鎖的な印象を軽減します。
これにより、デザイン性と安全性を両立させた空間づくりが可能です。
使用用途
ピロベルは防火区画壁、避難通路、避難階段間仕切りとして使用されます。
火災時の安全性を高めながら開放的な空間を維持できます。
まとめ
防火(耐火)ガラスは、火災時の安全確保に不可欠な要素であり、建築基準法に基づいた適切な選定が求められます。
AGCの「ピロベル」は、耐火・遮熱・遮音・耐貫通性に優れた高性能な防火(耐火)ガラスとして、建物の安全性向上に貢献します。
建物の防火対策を検討する際は、用途や設置場所に応じて適切な防火(耐火)ガラスを選び、安全性を確保することが重要です。
お問い合わせ
お客様のご要望に合わせて最適なガラス製品やガラス工事をご提案させていただいております。
ガラス・鏡の事でしたら足立硝子へお気軽にお問い合わせくださいませ。