フロートガラスの熱伝導率は高い?ガラス選びで必須の用語「熱伝導率」「熱貫流率」を分かりやすく解説します

ガラスの熱伝導率の違いで何が分かるの?

ガラスを選ぶ際は、ガラスの色、透明度、厚さ、強度といった指標に着目する方も多いでしょう。
確かに、これらの指標は最も基本的であり、とても重要ではあります。
しかし、ご自宅の窓ガラスとして使用する場合は、これだけでは不十分です。

自宅に設置するガラスを選ぶ場合は、厚さやサイズなどに加え、「熱伝導率」といった項目にも注目することをお勧めします。

熱伝導率から分かることは、物質の断熱性能です。
熱伝導率が高いと熱をよく通すので、断熱性は低く、逆に、熱伝導率が低いと熱をあまり通さないので、断熱性は高くなります。

例えば、フライパンは火にかけるとすぐに全体が高温になりますが、あれは金属の熱伝導率が高いためです。
対して、炎天下の中に木材をおいていても、あまり熱くなりませんが、あれは木材の熱伝導率が低いことによるものです。

では、熱伝導率は高い方がよいのか、それとも低い方がよいのか?

この質問の回答については、時と場合により異なります。
フライパンや鍋のような食材に熱を与えることを目的とした調理器具の場合は、当然、熱の通りがよい方が望ましいので、熱伝導率が高い製品を選ぶべきです。

対して、ガラスの場合は、基本的に熱を通さない方が望ましいです。
なぜなら、家の窓ガラスの熱伝導率が高いと、外気の変化に影響されやすく、夏は暑く、冬は寒い、過ごしにくいお部屋になってしまうからです。

熱伝導率が低い場合は、外気の影響を受けにくくなるので、室内は一年を通して温度変化の少ない、快適な環境が維持されます。

以上のことから、ガラスをお求めの際は、熱伝導率の低いものを探し出すのが望ましいです。
なお、厳密には「熱貫流率」という指標により、個々のガラスの断熱性能は決定されます。
熱貫流率はあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、それについても本記事内で解説していきます。

そもそも熱伝導率とは?

熱伝導率という言葉自体はよく耳にする言葉ですが、実はよく分かっていないという方も多いのはないでしょうか。
そこで、ここではそもそも熱伝導率とは何ぞやといった部分について切り込んで解説していきます。

冒頭でも説明しましたが、熱伝導率とは、熱の通しやすさを表す指標のことです。
熱伝導率が高いほど熱が通りやすく、逆に、低いほど熱が通りにくくなります。

注意点としては、熱伝導率はそれぞれの物質が固有の値を持っているということです。
つまり、物質のサイズ、厚みなどは熱伝導率の値に何ら関与しないということです。
鉄には鉄の、ガラスにはガラスの熱伝導率の値があります。

冒頭では、ガラス選びには熱伝導率が重要と述べていますが、上記から分かるように、基本的にどのガラスも熱伝導率自体はほとんど大差ありません。
なので、実際にガラスを選ぶ際は、熱伝導率ではなく、熱貫流率という指標を比較することになります。
熱貫流率も熱の通りやすさを表す指標の一つではありますが、物質特有の値ではありません。これについては下部で解説します。

ガラスの熱貫流率も知っておこう

ガラスを選ぶ際は、「熱貫流率」という指標がとても重要になってきます。
あまりなじみのない言葉だと思いますが、ここで分かりやすく解説しますので、ご安心を。

熱貫流率の定義は、両端(両面)の温度差が1K(1℃と同じ)の時に、単位面積あたりにどの程度の熱を通すのかとなっています。

熱伝導率との違いは、「両端の温度差が1K」という部分です。
この部分があることで、物質の構造の違いが加味されます。
それゆえ、同じ物質であっても、熱貫流率が違うといったことがあり得ます。

ガラスの話に戻すと、熱貫流率は、個々のガラス製品の熱の通しやすさを表すことになります。
これにより、客観的にガラスの断熱性能を比較することができ、より良い製品を見つけ出すことができます。

フロートガラスの熱貫流率

フロートガラスは、構造に特異な部分がないので、熱の通しやすさはガラスそのものの熱伝導率とほぼ同じです。
フロートガラスの熱貫流率は、鉄などの金属と比べるとずっと低いですが、ガラスの中では決して低い方ではありません。

ガラス製品の中では、2枚のガラスが合わさった特殊な構造を持つ、複層ガラスというものが存在します。
こちらのガラスは、ガラスとガラスの間に乾燥空気が封入されています。
空気の熱伝導率はガラスと比べると低く、そのため、複層ガラスの熱貫流率はフロートガラスよりも低く、断熱性能は2倍程度とされています。

最も熱を通しにくい状態は、真空です。
なぜなら、熱は分子の振動であり、物質が何も存在しない真空状態では、熱の伝導を媒介するものが存在しないからです。
ガラス製品の中では、ガラスとガラスの間を真空にした真空ガラスというものも存在します。
真空ガラスでは、ガラスの隙間の真空部が熱の伝導をブロックしてくれるので、高い断熱性能を誇ります。

ガラスを選ぶ際は、熱伝導率、熱貫流率という指標もとても大切なので、これを機にこれらのワードにも目を向けるようにしましょう。

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