美術館、博物館、商業施設など、日頃から様々な場所で目にするガラスの展示ケースやショーケース。
展示ケースやショーケースで使用するガラスとして、フロートガラスは代表的な選択肢の一つです。
フロートガラスは、溶融ガラスを錫の溶けた浴槽に浮かべて製造する、高品質な透明ガラスです。
フロートガラスは、反射を抑えながらも、高い透明度があり、多様なサイズ・加工性にも優れていることから、ショーケースに最も使用されているガラスと言えるでしょう。
そんな中、今回注目するのは、ガラスの反射についてです。
フロートガラスは、反射を抑えた特性を持つガラスですが、それよりも反射率を大幅に低減することができる”低反射ガラス”の存在について見ていきましょう。
・フロートガラスの反射率について
・低反射ガラスの誕生
・低反射ガラスの特徴と効果
・低反射ガラスを選ぶ際の注意点
・どちらのガラスを選ぶべきか
・低反射ガラスの他の使用例について
フロートガラスの反射率について
フロートガラスの反射率は約4%~程と言われています。
これはあくまで平均的な値であり、様々な要素によって変化するものと思いますが、光の入射角が大きくなるほど、反射率は高くなります。
その反射があるからこそ、人間は目視で、ガラスの存在に気付けるような状態と言えるでしょう。
ガラス越しにスマートフォンで写真を撮るような場面で、角度によって自分がガラスに反射して写ってしまうなんてことも経験があるのではないでしょうか。
低反射ガラスの誕生
日本で初めて低反射ガラスを導入したのは東京国立博物館とされています。
低反射ガラスは、光の反射を減少させるために、ガラス表面に特殊なコーティングや層が施されています。
昔はまだ低反射ガラスの技術が発展途上であり、非常に高価な物であったため、博物館のような重要な施設にのみ使用されていました。
その後、低反射ガラスの技術は進歩し、価格も徐々に落ち着き、現在では、美術館や博物館だけでなく、ショーケースや店舗のディスプレイなど、様々な場所で低反射ガラスが使用されています。
低反射ガラスの特徴と効果
低反射ガラスの反射率は、種類や、環境条件によって異なりますが、一般的には約0.2%~1.0%程です。
通常のフロートガラスの反射率(約4%~程)と比べると、大幅に低減されていることがわかる数字となっています。
こうした低反射ガラスの性能は、展示ケースやショーケースでの使用において、効果的に作用します。
1.商品をより魅力的に見せる
低反射ガラスは、ガラスの反射を抑えることで、質感などをじっくりと観察することができ、作品や商品本来の色や質感、細部まで鮮明に見せることができます。
2.展示空間をより洗練された印象にする
ガラスの反射が抑えられることで、空間全体が落ち着いて見え、作品、商品がより引き立ちます。
3.照明の反射を抑える
不自然な影が抑え、均一な光で照らすことができます。
商品を展示してるガラスのショーケースなどでは、こうした効果から、商品の魅力を最大限に引き出し、購買意欲を高める効果もあると考えられます。
低反射ガラスを選ぶ際の注意点
低反射ガラスを選ぶ際には、コーティングの種類や厚みによって、透過率が変化する場合があるため、反射率だけではなく、透過率も考慮する必要があります。
ポイントとしては、下記の通りです。
用途
展示ケースやショーケースなど、透過率が重要な用途では、透過率の高い低反射ガラスを選ぶ。
光の波長
特定の波長の光を利用する用途では、その波長の透過率を確認する。
入射角
斜めから見る機会が多い場合は、入射角による透過率の変化を確認する。
どちらのガラスを選ぶべきか
展示ケースやショーケースのガラス選びは、展示物や商品、予算、使用環境、用途などを考慮する必要があります。
フロートガラスと低反射ガラスは、それぞれ異なる魅力を持つガラスです。
最適なガラスを選ぶためにも、導入・施工の際には、ガラスのプロに相談していただくことをお勧めいたします。
当社でもお客様のご要望に合わせて最適な製品をご提案させていただいております。
どんなご要望やご質問でも、ガラスの事でしたら足立硝子へお気軽にお問い合わせください。
他の使用例について
低反射ガラスは、さまざまな用途で屋外でも使用されています。
昔の低反射ガラスのコーティング技術は、屋外環境での耐久性が低く、すぐに劣化していましたが、現代においては低反射ガラスは進化を遂げ、様々な分野で活用されています。
高級ブランドショップのショーウインドウや、高層ビルの窓ガラスに低反射ガラスを採用することで、景観をより美しく見せています。
また、住宅の屋根に設置された太陽光パネルに低反射ガラスを採用することで、発電量を増やすことも期待されています。
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