私たちの身の回りにある窓ガラス、コップ、鏡、ビンなど、日常生活には欠かせない「ガラス」
その透明さや硬さ、加工のしやすさから、建築、インテリア、食器、光学製品に至るまでさまざまな場面で活用されています。
では、そのガラスは一体どうやって作られているのでしょうか?
この記事では、ガラスの原料から製造工程、そして少し気になるDIYの話まで、わかりやすく解説していきます。
目次
ガラスの原料とは?
現在、最も広く使われているガラスの主な原料は、以下の3つです。
珪砂(けいしゃ/シリカ)
ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)
これを多く含む鉱物が「石英(せきえい)」で、それを細かく砕いたものを珪砂(けいしゃ)と呼びます。
珪砂はガラスの骨格をつくる中心的な材料で、その純度がガラスの透明度にも関わってきます。
ちなみに、石英には色や形によってさまざまな名称がつけられています。
たとえば、赤みを帯びた「ローズクォーツ」、層状になった「めのう」、結晶が大きく育った「水晶」などです。
これらも砕いてガラスの原料になることがあります。
ソーダ灰(炭酸ナトリウム:Na₂CO₃)
珪砂だけでは非常に高温(約1,700℃)でなければ溶けません。
そこで融点を下げるために加えるのがソーダ灰です。
加熱により酸化ナトリウム(Na₂O)に変わり、ガラス内部に溶け込みます。
昔は草木を燃やした灰から取り出していたソーダ灰ですが、現在では工業的に製造されています。
石灰(炭酸カルシウム:CaCO₃)
ガラスの安定性を高めるために使われる材料です。
酸化カルシウム(CaO)として作用し、耐久性・耐水性を向上させます。石灰岩や貝殻などから得られることが多いです。

出典:visiontir.com
ガラスの製造方法
ガラスの製造方法にはさまざまな種類がありますが、最も一般的で広く使われている方法がフロート法です。
これは1950年代にイギリスのピルキントン社によって開発され、現在ではガラス製造の標準的な方法として広く普及しています。
フロート法によるガラスの製造
フロートガラスとは、その名の通り「浮かぶ」ようにして製造されるガラスです。
この方法では、溶けたガラスを溶融したスズの上に流し込みます。
ここで重要なのは、スズの比重がガラスよりも高いため、ガラスが自然とスズの上に浮かび上がるという点です。

フロート法の特徴
- ガラスが浮かぶ:ガラスは溶けたスズの上に流し込まれ、自身の重みによって自然に平らになります。
これにより、均一で高品質な平面ガラスが作られます。 - 高精度な平面性:フロート法では、ガラスはスズの上を浮かぶことで均一な厚さに整えられます。
これにより、非常に平滑で透明度の高いガラスが製造できるのです。 - 自動化の進展:フロート法はその製造の手軽さと高品質な仕上がりのため、広く普及し、現在ではほとんどの建材用ガラスや窓ガラスがこの方法で作られています。
このフロート製法が登場する以前は、ガラスの製造には手間がかかり、特に均一な厚さのガラスを作るのが非常に難しかったのですが、フロート法の導入により、板ガラスが大量生産できるようになりました。
ガラスは家で作れる?DIYでできる?
ガラスって作ってみたくなりますよね。でも結論から言うと……
「家庭で本格的なガラスを作るのは、ほぼ無理です!😢」
理由は以下の通りです。
- 必要な温度が1,500℃以上(家庭用オーブンでは到底無理…)
- 材料の精密な調合と、高温でも耐えられる炉設備が必要
- 冷却時の制御を誤ると、すぐ割れる・爆発する危険性あり
ただし!
「ガラス風の素材を使った工作」や「既製のガラスを加工するDIY」は十分楽しめます。
「ガラスそのもの」は難しいけど、「ガラス」を活かしたDIYはむしろ自由度が高く、個性的な作品が作れる世界です。
安全第一で、楽しくチャレンジしてみてください!
ガラスの種類と用途
一口にガラスといっても、用途に応じてさまざまな種類があります。
下記はその一例です。
フロートガラス

強化ガラス
網りガラス

すりガラス・型板ガラス

ガラスができるまでのまとめ
ガラスはただの“砂”ではなく、シリカ(珪砂)を中心とした複数の原料を高温で溶かし、緻密に成形・冷却・加工することでできる、高性能な素材です。
身近なようで奥深い「ガラスの世界」、ぜひ今後も注目してみてください。


