ふと見かけるガラス工事の現場。
透明でつるつるしたガラス板を、人の手でスムーズに運んだり設置したりしている姿を見ると、「あんなに大きなガラス、どうやって持ってるの?」と不思議に思ったことはありませんか?
その答えは、サクションリフターという道具にあります。
ガラス業界ではごく一般的な道具で、「タコ」と呼ばれることもあります🐙
今回は、そんなガラス屋の吸盤についてご紹介します。
サクションリフターってどんな道具?
サクションリフターとは、簡単に言うと「真空の力でモノを吸いつけて運ぶ道具」です。
吸盤部分をガラスなどの平らな面に押し当て、レバーを引くことで内部の空気を抜き、真空状態にすることで密着・吸着します。
この道具を使うことで、取っ手がついていないガラスのような素材をしっかりつかむことができます。
人の手だけでは持ちにくい、重くて滑りやすい素材も、サクションリフターがあれば安定して作業ができるというわけです。

どんなときに使うの?
サクションリフターは、ガラス板、金属板等の移動など、運搬しにくい物に吸着させて使用します。
「手でつかむのが難しいもの」「落としたら危ないもの」を、安全かつ効率よくするために欠かせない道具です。

どのくらい強く吸い付くの?
サクションリフターの吸着力は、製品によってさまざまですが、ここでは実際の製品例として「サングリップ TH-180」をご紹介します。
サングリップ TH-180 サクションリフターは、レバー操作によって吸盤部分から空気を抜き、真空状態を作って対象物に強く吸着する構造です。ガラスはもちろん、取っ手のない平滑なものをしっかりつかむことができます。
主な仕様は以下の通りです。
- 吸盤直径:180mm
- 吸着力(平吊り):最大120kg(保持時間 約60分)
- 吸着力(横吊り):最大60kg(保持時間 約60分)
この「保持時間」とは、真空状態を維持している時間の目安で、60分もあればかなりの作業が可能です。
ただし、これらの数値はあくまで製品に記載された理論値です。
現場では対象物の材質・表面状態・温度などによって実際の吸着力に差が出るため、複数の吸盤を使って安全性を確保するのが一般的です。

安全に使うためには?
サクションリフターはとても便利な道具ですが、正しく使わないと重大な事故につながる可能性があります。
- 吸着面に汚れや水分がないか確認する
- 吸盤ゴムに劣化やキズがないかチェックする
- 吸着後、必ず手で引っ張ってみて固定されているか確認する
- 定期的にメンテナンスを行う
といった基本的な確認を怠らず、安全第一で使用することが求められます。
まとめ
サクションリフターは、ガラス屋の現場に欠かせないプロの道具です。
大きくて重たいガラスや板材を、安全に、効率よく、人の手で扱うことを可能にしてくれるこの道具は、一見地味ながらも非常に重要な存在です。
もし街でガラス工事を見かけた際に、職人さんが何やら黒い円盤のようなものを使って作業していたら、それが「サクションリフター」です。
ぜひ注目してみてくださいね。