火災発生時の安全確保は、建築物における重要な課題です。
特に、延焼拡大を防ぐための防火設備は、人の命を守る重要な役割を果たします。
近年、防火設備の性能向上とともに、デザイン性も重視されるようになってきました。
従来の防火設備は、重厚で無機質なイメージがありましたが、近年では、ガラスを用いたスタイリッシュな防火設備も登場しています。
この記事では、特定防火設備とガラスの関係について詳しく解説します。
1. 特定防火設備とは
特定防火設備とは、建築基準法で定められた防火性能を満たす設備のことです。
火災発生時に、延焼を抑制し、避難時間を確保する役割を果たします。
特定防火設備には、以下の種類があります。
- 防火戸: 火炎の侵入を防ぐドア
- 防火壁: 火炎の延焼を防ぐ壁
- 防火シャッター: 火炎の侵入を防ぐシャッター
- 防火ガラス: 火炎の侵入を防ぐガラス
特定防火設備:法令上の定義
建築基準法施行令第136条の2項では、特定防火設備は以下の通り定義されています。
特定防火設備とは、火災の際に、当該火災が発生した部分の火炎の当該部分以外の部分への伝達を防止し、かつ、当該火災の発生した部分に避難する人の安全を確保するために必要な設備をいう。
特定防火設備と防火設備の違いは何?
特定防火設備と防火設備は、どちらも建築基準法で定められた防火性能を満たす設備ですが、耐火時間に違いがあります。
(1) 耐火時間
- 特定防火設備: 1時間以上の耐火性能
- 防火設備: 20分以上の耐火性能
つまり、特定防火設備は、防火設備よりも長い時間、火炎の侵入を防ぐことができます。
(2) 設置場所
- 特定防火設備: 延焼のおそれがある場所に設置
- 防火設備: 特定防火設備ほど厳格な設置基準はなし
一般的に、特定防火設備は、以下のような場所に設置されます。
- 避難経路
- 延焼拡大を防ぐための区画
- 高層建築
(3) 種類
- 特定防火設備: 防火戸、防火壁、防火シャッター、防火ガラス
- 防火設備: 防火戸、防火シャッター
2. 特定防火設備とガラス
従来の防火ガラスは、網入りガラスや耐熱強化ガラスが主流でした。
しかし、これらのガラスは、視認性が悪かったり、デザイン性が劣っていたりという課題がありました。
近年では、技術革新により、透明性、機能性、防火性能を兼ね備えた、高性能な防火ガラスが開発されています。
日本電気硝子株式会社「ファイアライト」|火と水に耐える革新的な防火ガラス
ファイアライトは、日本電気硝子株式会社が開発・製造する、特定防火設備・防火設備用ガラスです。
従来の防火ガラスとは異なり、熱膨張係数がほぼゼロという特許技術を用いることで、火災時の高温と消火活動時の急冷に耐えるという画期的な性能を実現しています。
ファイアライトの特徴
- 火と水に耐える: 800℃の高温に熱しても冷水をかけても割れない、驚異的な耐熱衝撃性を実現しています。
- 高い透明性: 網入りガラスと異なり、視認性を損なう網がないため、クリアな視界を確保できます。
- 安全性: 衝撃安全性をプラスした合わせガラス(ファイアライトプラス)もあり、安全性が高いです。
- 豊富な種類: 厚さや用途に応じた様々な種類があります。
- 省エネ性能: 暑さ・寒さをやわらげる高気密性能設計です。
3. 特定防火設備とガラスの選び方
特定防火設備とガラスを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 防火性能: 必要な防火性能を満たす製品を選ぶ
- デザイン: 空間全体の雰囲気に合ったデザインを選ぶ
- 機能性: 遮音性や断熱性などの機能性も考慮する
- コスト: 予算に合った製品を選ぶ
4. まとめ
特定防火設備とガラスは、安全と美観を両立する最新の防火技術です。
建物の用途やデザインに合わせて、適切な特定防火設備とガラスを選ぶことで、安全で快適な空間を実現することができます。
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