ガラス。私たちが毎日使うものなのに、実は「固体か液体か?」という謎を抱えているのをご存じですか?
普段、コップや窓ガラスとして目にするガラスは、「固体」と思い込んでいますよね。
しかし、実はガラスは普通の固体とは少し違う性質を持っているのです。
そして、このガラスの正体に、東京大学の研究者たちがついに新しい答えを出しました。
ガラスって、結晶とどう違うの?
ガラスと結晶、これらは一見似たようなものに見えますが、実はその性質は大きく異なります。
結晶というのは、物質の分子や原子が規則正しく並んだ状態の固体を指します。
例えば氷は、水が冷えて結晶化することで、分子が規則的に並んで固まります。
このように、結晶は分子が決まったパターンで並ぶことが特徴です。
一方で、ガラスは液体を急激に冷やすことで作られます。
液体では分子が自由に動いていますが、それをゆっくり冷やすと分子たちは規則正しく並ぶようになります。
しかし、液体を急速に冷却すると、分子たちはそのままバラバラの状態で固まり、規則性を持たないのがガラスの特徴です。つまり、ガラスは規則正しい並びを持たないため、結晶とは全く異なる性質を持っています。
東京大学の研究チームの新発見
東京大学の研究者たちが注目したのは、ガラスの分子がどう動くかという点です。
これまで「ガラスは固体」とされてきましたが、実はそれだけでは説明できないことが多かったのです。
研究チームは、コンピュータシミュレーションを使ってガラスの分子の動きを観察しました。
その結果、ガラスの分子は「振動する」だけでなく、「再配置」も繰り返していることがわかりました。
この「再配置」という現象は、分子がある位置に動いた後に、新たな位置に移動して配置を変えるというものです。
ガラスの分子は、ランダムに配置された状態で、振動しつつも少しずつ位置を変えていることが確認されたのです。

「再配置」ってどういうこと?
この「再配置」が示すのは、ガラスが固体と液体の中間の性質を持っているということです。
普通の固体、例えば金属や氷などは、分子が一定の位置で振動するだけです。
しかし、ガラスの分子はその位置にとどまらず、微細な動きを繰り返しているのです。
これがガラスの特異な性質であり、液体のような柔軟さを感じさせる理由でもあります。
とはいえ、ガラスが完全に液体のように流動するわけではありません。
ガラスの分子は、限られた範囲内で再配置を繰り返しているだけで、液体のように自由に動くことはありません。
つまり、ガラスは「流動的」と言っても、完全に液体というわけではなく、固体と液体の中間のような性質を持っているのです。
ガラスは固体か液体かの謎
長年、「ガラスは固体か、液体か?」という問いがありました。
この問いに対して、東京大学の研究チームが新たな答えを出しました。
研究によると、ガラスは固体と液体の間に位置する物質であり、限界安定性を持つ固体であるとされています。
ガラスの分子は、液体が固体に変化する際の「安定の境界線」にある状態で固まっており、わずかな温度変化でその配置が変わる可能性があることが分かりました。
これは、ガラスが常に微細な変化を受け入れながらも、完全に安定して固まることがないため、非常に特殊な固体であることを意味しています。

今後の研究の重要性
この発見は、ガラスの物理的な特性を理解するための重要なステップです。
ガラスは、振動だけでなく、分子レベルでの配置変化を持っていることが明らかになり、その性質がますます深く理解されるようになりました。
これにより、ガラスの製造過程や新しい技術の発展が期待されます。
また、ガラスの「再配置現象」に関する研究が進むことで、今後、ガラスを使った新しい材料や技術が登場する可能性があります。
私たちが普段使っているガラスの特性をさらに深く理解することができるのです。
まとめ
ガラスは単なる固体ではなく、固体と液体の中間的な性質を持つ不思議な物質だということが、東京大学の研究によって明らかになりました。
ガラスの分子は、振動しながらも配置を変える「再配置」を繰り返し、その性質が固体と液体の境界線上に位置していることが分かりました。
今後の研究がさらに進むことで、ガラスの理解が深まり、より新しい技術や応用が見えてくることでしょう。
出典:マイナビ
「ガラスが液体と固体の中間の状態であることを東大などが解明」
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20201019-1424360