梅雨真っ只中、ジメジメとした日が続いていますね。
しかも今年は、6月だというのにすでに35℃を超える猛暑日を記録するなど、例年以上の厳しさを見せています。
屋外での作業はもちろん、実は室内でも熱中症のリスクは高まっているのをご存知でしょうか?
今回は、改めて現場での熱中症対策の重要性と、梅雨型熱中症の恐ろしさ、そして命を守るためのポイントをお伝えします。
目次
「梅雨型 熱中症」をご存知ですか?
熱中症と聞くと、カンカン照りの真夏日を想像しがちですが、実は梅雨時期にこそ注意が必要な「梅雨型 熱中症」というものがあります。
これは、本格的な夏に入る前の体が、まだ暑さに慣れていない時期に、湿度が高いことで汗が蒸発しにくく、体温調節がうまくできなくなることで起こります。
なぜ梅雨時期が危険なのか?
- 体が暑さに慣れていない(暑熱順化不足)
長い冬を越え、体はまだ暑さに順応できていません。
体が暑さに慣れることを「暑熱順化」と呼びますが、これには通常1〜2週間かかると言われています。
梅雨時に急な猛暑に見舞われると、体は急激な気温上昇に対応しきれず、体温調節機能が十分に働かないため、熱中症になりやすい状態です。 - 湿度が高い
梅雨は湿度が高く、汗が蒸発しにくくなります。
汗が蒸発しないと体は熱を放出できず、どんどん体内に熱がこもってしまいます。
このため、気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと「蒸し暑い」「不快な暑さ」を強く感じやすくなります。
この不快感が見過ごされると、気づかないうちに熱中症が進行してしまうことがあります。

屋外・屋内問わず、現場は常に危険と隣り合わせ
屋外での作業はもちろんのこと、建設現場や工場、倉庫など、エアコンの効きが悪い、換気が不十分な室内でも熱中症は発生します。
特に、以下のような状況では注意が必要です。
- 屋外作業: 日差しが直接当たる場所、風通しが悪い場所、アスファルトやコンクリートからの照り返しがある場所など。
- 室内作業: エアコンがない、または効きが悪い場所、窓を閉め切った場所、機械や設備から熱が発生する場所、高所の屋根裏や天井裏など風が通りにくい場所。
- 重労働: 肉体的に負荷の高い作業は、体温を急激に上昇させます。
- 密閉された空間: 換気が不十分な場所では、熱気や湿気がこもりやすくなります。

熱中症の恐ろしさ:見過ごされがちな初期症状
「少しだるいな」「頭がぼーっとするな」といった初期症状は、疲労と勘違いされがちです。
しかし、これらは熱中症のサインである可能性が高いのです。
熱中症は進行すると命に関わる病気であり、以下のような症状が現れます。
【初期症状】
- めまい・立ちくらみ: 血圧の低下や脳への血流不足によって起こります。
- 筋肉痛・こむら返り: 体内の塩分やミネラルバランスが崩れることで起こります。
- 体のだるさ・倦怠感: 全身に力が入らず、だるさを感じます。
- 吐き気・おう吐: 胃腸の働きが低下することで起こります。
- 頭痛: 脱水症状によって脳が圧迫されることで起こります。
- 大量の汗: 体が体温を下げようとして、大量の汗をかきます。
【重症化すると】
- 意識障害: 呼びかけに反応しない、意識が朦朧とする、けいれんを起こすなど。
- 高体温: 体温が40℃を超えることもあります。
- まっすぐ歩けない: 運動機能に障害が現れます。
- 汗が出なくなる: 体温調節機能が破綻し、汗をかくことができなくなります。これは非常に危険な兆候です。
これらの症状が出た場合は、すぐに作業を中断し、涼しい場所へ移動して水分・塩分補給を行い、必要であれば医療機関を受診してください。
「これくらいなら大丈夫」という自己判断は絶対にNGです。

無理せず、賢く働くための熱中症対策
毎年、各現場で様々な熱中症対策が講じられていますが、今年の異常な暑さは、例年の対策だけでは不十分である可能性を示唆しています。
今一度基本に立ち返り、万全の対策を行いましょう。
こまめな水分・塩分補給を徹底!
喉が渇いたと感じた時には、すでに脱水症状が始まっています。
喉が渇く前に、意識的に少量ずつこまめに水分を摂りましょう。
汗を大量にかく場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分やミネラルも補給してください。
カフェインの入った飲み物(コーヒーや緑茶など)は利尿作用があるため、水分補給には不向きです。
涼しい服装と暑熱対策グッズの活用
- 通気性の良い服装: 吸汗速乾性のある素材や、襟元が開いたもの、半袖など、風通しの良い服装を選びましょう。
- 冷却グッズ: 空調服、冷却ベスト、ネッククーラー、氷嚢などを積極的に活用しましょう。
首元や脇の下など、太い血管が通っている場所を冷やすのが効果的です。 - 帽子やヘルメット: 直射日光から頭部を守りましょう。通気性の良いものを選び、必要であれば内側に保冷剤を入れるなどの工夫も有効です。

こまめな休憩と涼しい場所の確保
- 定期的な休憩: 作業中は、定期的に休憩を取りましょう。
普段よりもこまめに、そして長めに休憩を取る必要があるかもしれません。
休憩中は、日陰やエアコンの効いた休憩所など、涼しい場所で体を休ませてください。 - クールダウン: 休憩時には、濡らしたタオルで体を拭いたりして、体温を下げる工夫をしましょう。
- 作業場所の工夫: 可能であれば、日差しを避けられる場所での作業や、扇風機やミストファンを設置するなどの対策も有効です。また、日中の最も暑い時間帯(10時~14時頃)を避けた作業時間の調整も有効です。
体調管理と情報共有
- 睡眠と食事: 十分な睡眠とバランスの取れた食事で、体調を整えましょう。寝不足や体調不良は、熱中症のリスクを高めます。
- 朝食の摂取: エネルギー源となる炭水化物を含む朝食をしっかり摂りましょう。
- 作業前の体調チェック: 作業前には、各自が自分の体調をチェックし、少しでも異変を感じたら無理をしないことが重要です。
- 声かけと見守り: 周囲の仲間にも気を配り、異変を感じたら積極的に声をかけましょう。
特に、高齢の方や持病をお持ちの方は熱中症になりやすい傾向があるため、注意が必要です。

「大丈夫」という過信が命取りに
「俺は暑さに強いから大丈夫」「昔から暑い現場で働いてるから慣れてる」そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、体調は日々変化しますし、加齢によって体の適応能力も変わってきます。
今年の異常な気候は、その経験を過信することの危険性を改めて教えてくれています。
「大丈夫」という過信こそが、一番の敵なのです。
熱中症は、誰にでも起こりうるものです。
自分自身の体を過信せず、謙虚に、そして慎重に、日々の作業に取り組みましょう。

まとめ
今年の梅雨も、厳しい暑さが予想されます。
特に今年は6月から記録的な暑さとなっており、例年以上に注意が必要です。
現場で働く皆さんの安全と健康が第一です。
一人ひとりが熱中症に対する意識を高め、適切な対策を講じることで、安心して仕事に取り組める環境を作り上げていきましょう。
