合わせガラスの防犯性能は?|知っておきたいガラスの違い

「合わせガラスって、防犯性能はあるの?」そんな疑問をお持ちの方は少なくありません。

確かに、合わせガラスはガラスの間に中間膜を挟んでいるため、割れたときの飛散を防ぐ効果があります。
しかし、防犯目的での耐貫通性は十分とは言えません

では、なぜ合わせガラスでは防犯性能が限定的なのか。どのようなガラスなら本当に防犯効果が期待できるのか。

本記事では、合わせガラスと防犯ガラスの違いをわかりやすく解説します。

合わせガラスと防犯ガラス|その技術的構造と目的

まず、両者の本質的な違いは、中間膜の厚さと材質、そして設計思想にあります。

合わせガラスは、主に飛散防止安全性の確保を目的として設計されています。

2枚のガラスの間に挟まれた中間膜(主にPVB:ポリビニルブチラール)は、ガラスが割れた際に破片が飛び散るのを防ぎます。

自動車のフロントガラスが典型的な例で、万が一の事故の際に乗員の安全を守るためのものです。
建築分野では、建物の窓ガラスや、安全確保を目的とした場所に多く採用されてきました。

一方、防犯ガラスは、合わせガラスの一種でありながら、その目的は明確に侵入防止に特化しています。

使用される中間膜は、通常の合わせガラスに比べて格段に厚く(1mm以上)、強靭な樹脂で構成されています。

この特殊な中間膜は、ハンマーやバールといった工具による破壊力に長時間耐えうるよう設計されており、ガラスが割れた後も貫通を強く阻止します。
防犯ガラスが備えるこの「貫通抵抗性能」こそが、通常の合わせガラスとは一線を画す最大の特長です。

ガラス
中間膜(標準)
ガラス
合わせガラス
ガラス
中間膜(高強度仕様)
ガラス
防犯ガラス

決定的な違いは「時間」|CPマークが示す信頼性

プロの侵入者は、建物の弱点を知り尽くしています。

彼らにとって、窓を破壊するのにかかる「時間」が、侵入を成功させるかどうかの鍵となります。

通常の合わせガラスは、たとえ叩き割ってもガラスの破片は飛散しませんが、工具で数回衝撃を与え続ければ、比較的短時間で貫通させることができてしまいます。合わせガラスの防犯性能は、あくまで限定的なのです。

これに対し、防犯ガラスは、ガラスの間に挟まれた厚く強靭な中間膜が、衝撃を吸収し、工具の貫通を強力に阻止します。

警察庁と民間団体が推奨する「CPマーク」は、侵入者が侵入を諦めるとされる「5分間」以上の抵抗性能があることを証明するものです。

この5分間という時間は、侵入者の約7割が侵入を断念する統計に基づいたものであり、この時間稼ぎこそが、防犯ガラスに求められる最も重要な性能です。

CPマーク
防犯ガラス

性能を最大限に引き出すポイント

防犯ガラスの性能を最大限に引き出すためには、ガラス単体の性能だけでなく、サッシや鍵、そして施工方法が重要になります。

1. サッシとの組み合わせ:防犯ガラスを設置しても、サッシの破壊が容易であれば意味がありません。防犯ガラスの性能に見合った、強固なサッシとの組み合わせが不可欠です。

2. 補助錠の併用:ガラスを割って手を入れて鍵を開ける手口(通称「ガラス破り」)には防犯ガラスが有効ですが、窓枠を外したり、鍵そのものを破壊したりする手口もあります。補助錠の設置や鍵自体の防犯性能を向上することで、より強固な対策となります。

3. 正しい施工:ガラスとサッシの隙間を適切に処理するなど、メーカーの指示に従った正しい施工が、性能を発揮させる上で不可欠です。

まとめ

安全性を高める「合わせガラス」と、防犯性能を追求した「防犯ガラス」
見た目は似ていても、その設計思想や役割はまったく異なります。

知識としてこの違いを理解しておくことは、建物や住環境の安全を考えるうえで非常に重要です。
合わせガラスは割れたときの飛散を防ぐことを目的に設計されており、防犯性能は限定的。
一方、防犯ガラスは侵入防止を目的に作られ、耐貫通性能を備えています。

この違いを正しく押さえておくことで、単なる「丈夫なガラス」という印象に惑わされず、用途や目的に応じて適切なガラスを理解できる知識を身につけることができます。

ガラスの特性を知っておくと、安心な空間づくりの考え方にも自然と役立ちます。

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