寒さが厳しくなる季節、窓ガラスにびっしりと付く水滴、結露。
多くの方が「うちはペアガラス(複層ガラス)だから大丈夫」と思われがちですが、いざ寒くなると結露に悩まされるケースは少なくありません。
結論から申し上げると、ペアガラスでも結露は発生します。
この記事では、ペアガラスで結露が発生するメカニズムから、その具体的な対策について解説します。
目次
ペアガラス(複層ガラス)とは?
ペアガラス(複層ガラス)とは、複数のガラスを重ね、その間に乾燥した空気やアルゴンガスを封入したガラスです。
また中間層を真空にした商品もあり非常に高い断熱性を持っているものもあります。
※ペアガラスは複層ガラスと同じ意味ですが、二重サッシはまったくの別物です。

🧐 結露が発生する基本的なメカニズム
結露は、空気中に含まれる水蒸気が冷やされ、水滴に変わる現象です。
この現象には、主に以下の3つの要素が複雑に絡み合っています。
🌡️ 室内外の大きな温度差
外気が冷たく、室内が暖房などで温められている場合、窓ガラスは外気によって冷やされます。
ガラスの表面温度が低下すると、その表面に接している室内の暖かい空気が急激に冷やされます。
💧 高い室内湿度
空気は、温度が高いほど多くの水蒸気(湿気)を含むことができます。
逆に、空気の温度が下がると、含むことのできる水蒸気量が減ります。
この限界を超え、水蒸気が水滴に変わる温度を「露点温度」と呼びます。
窓ガラスの表面温度 < 室内空気の露点温度
この状態になると、水蒸気は液体化し、窓ガラスの表面に結露として現れます。
🌬️ 不足している換気
調理や加湿器、人の呼吸などで発生した水蒸気が室内にこもり、換気が不十分だと湿度が上昇します。
オフィスや店舗など、人の出入りが多くても、暖房の使用状況によっては一時的に湿気が高まることがあります。
換気が悪い状態は、結露を助長させる大きな要因となります。
🪟 ペアガラス(複層ガラス)の構造と結露の関係
ペアガラスが「結露しにくい」理由
ペアガラスは、2枚のガラスの間に空気や乾燥ガスが封入された中空層を持たせた構造です。
この中空層を挟むことで断熱性能を高め、外気の冷たさが内側のガラスに伝わりにくくしています。
高い断熱性能により、室内側のガラス表面温度が露点温度以下になりにくくなるため、一枚ガラスと比較して結露を抑える効果があります。
なぜペアガラスでも結露が発生するのか?
環境結露(ガラス表面の結露)
これは、ペアガラスの断熱性能を超える極端な温度差や高湿度の環境下で発生する、一般的な結露です。
特に、以下のいずれかの条件が揃うと、ペアガラスであっても結露しやすくなります。
- 極端な冷え込み: 外気温が非常に低く、室内との温度差が極めて大きい場合。
- 高湿度環境: 室内で加湿器を長時間使用したり、調理、水回り作業などで湿度が過度に高くなっている場合。

内部結露(ガラス層間の結露)
これは、ガラスの寿命や劣化によって、ペアガラスの中空層内部に発生する結露です。
ペアガラスは、周囲がシール材で封着され、中空層の乾燥状態を保っています。
しかし、長期間の使用(数十年単位)により、このシール材が劣化すると外部の湿気が中空層に侵入し、結露が発生します。
内部結露が発生した場合、断熱機能が失われているサインであり、交換が必要となります。
🛠️ ペアガラスで結露してしまった時の具体的な対策
環境結露が発生した場合(ガラス表面の結露)
| 対象 | 対策内容 | 備考 |
| 全般 | 計画的な換気 | 窓を少し開けたり、換気システムを利用し、高湿度の空気を排出する。特に就寝前や水蒸気を多く使用した後に効果的。 |
| 全般 | こまめな拭き取り | 放置するとカビやダニの原因になるため、乾いた布などで拭き取る。 |
| 全般 | 高性能ガラスへの交換 | ペアガラスよりも結露抑制効果が高い真空ガラスや、高性能Low-E複層ガラスへ取り替える。これが最も恒久的な解決策となります。 |
| 住宅・小規模オフィス | 湿度管理 | 湿度計で室内湿度を50%~60%程度に保つよう加湿器の使用を調整する。 |
内部結露が発生した場合(ガラス層間の結露)
- ガラスごとの交換が必要です。
- 内部結露はガラスの劣化を示しており、断熱性能も低下しているため、早めに交換を検討しましょう。
✨ 効果的な結露対策「真空ガラス」の選択
恒久的な結露対策として、特に高い結露抑制効果を求めるのであれば、「真空ガラス」が非常に有効な選択肢となります。
真空ガラスは、2枚のガラスの間に真空層を設けることで、熱の移動の大きな原因となる「伝導」や「対流」をシャットアウトします。
この圧倒的な断熱性能は、一般的なペアガラスと比較しても約2倍に達し、結露の発生を極めて低い外気温まで抑え込みます。
この高性能により、室内温度20℃、室内湿度80%の極端な環境下でも、外気温が1℃程度になるまで結露の発生を抑えることが可能です。(※製品仕様により異なります)
📝 まとめ
結露は、多くの要因が複雑に作用して発生する現象です。
ペアガラスは結露対策として優れていますが、完全に結露がなくなるわけではありません。
住宅、オフィス、店舗を問わず、計画的な換気による湿度コントロールと、必要に応じた断熱性の高いガラス(真空ガラスなど)の採用を組み合わせることで、不快な結露を防ぎ、快適な室内環境を維持していきましょう。
お問い合わせ



