ガラスは、その透明性や耐久性から様々な場所で活用されていますが、安全に、そして美しく使用するためには、適切な「加工」が欠かせません。
本記事では、板ガラスの主な加工の種類と、選び方をご紹介します。
加工無(切りっぱなし)
切断したままの状態のガラスを指します。
切断面の平らな部分をコバ面(小口面)、角の部分をエッジと呼びます。
切断したままなので、エッジが鋭利で非常に危険な状態です。
この状態のガラスは、通常、すぐに加工されることを前提として扱われます。


糸面加工
ガラスの切断面にある鋭利なエッジをわずかに削り取る加工です。
これにより、ガラスの取り扱いが安全になり、手を切るリスクが軽減されます。
また、エッジの欠けによる強度低下を防ぐ効果もあります。
削り取る幅はごくわずかから、2mm程度まで様々です。


平加工
糸面加工に加えて、コバ面全体を削る加工です。
コバ面の仕上げは、使用目的に応じて「粗ずり」「つや消し」「磨き」の3種類があります。
- 粗ずり(G: Grinding): コバ面を#180程度の研磨材で削った、粗い仕上がりです。
ガラス同士を突き合わせたり、接着する面などに用いられます。 - つや消し(S: Smoothed): #200~#270程度の研磨材で削った、きめの細かい、つやのない仕上がりです。
すりガラスに近い見た目で、自動車の窓ガラスの露出する縁などに使われます。 - 磨き(P: Polished): 粗ずり、つや消しを経て、さらに#500、#800程度の研磨材で丁寧に磨き上げた、きめ細かくつやのある仕上がりです。一般的な建築物の露出するガラスの縁などに多く用いられます。
コバ面が露出する場合や、美観を重視する場合には、つや消しや磨き加工が施されます。



R加工(かまぼこ面磨き・ぼうず磨き加工)
ガラスのエッジとコバ面の境目がなくなるように、かまぼこのように丸く研磨する加工です。
手で触れる機会の多いガラステーブルの天板や自動車のサイドガラスなど、安全性が特に求められる部分によく使われます。
加工面は平加工と同様に、粗ずり、つや消し、磨きで仕上げられます。


傾斜加工
ガラスの切断面を斜めに削り取る加工です。
例えば、2枚のガラスで出隅(L字型)のコーナーを形成する場合、傾斜角度を45°にして「留め加工」として用いられます。
これにより、すっきりとした美しい仕上がりになります。
角度はデザインに合わせて自由に設定でき、エッジ部分は糸面加工、傾斜面は粗ずりやつや消し加工で仕上げられます。


面取り加工
ガラスの端面を幅広く滑らかに削り、磨き上げる加工です。
光の反射に独特の角度が加わり、ガラスに特別な美しさと高級感をもたらします。
アンティークな鏡や装飾的なガラス製品によく見られます。


加工の選び方
ガラスの加工は、安全性を確保し、デザイン性を高める上で非常に重要な工程です。
特に、日常的に手で触れる可能性がある場所にガラスを使用する場合は、加工を施すことが必須です。
加工無しのガラスはエッジが鋭利で、思わぬ怪我につながる危険性があります。
どの加工が最適かは、ガラスを使用する場所、目的、そして求める安全性やデザインによって大きく異なります。
また、今回ご紹介した加工以外にも、お客様のご要望に応じた特殊な形状の加工が可能な場合もあります。
ガラス加工に関するた疑問やご要望がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。