建物の窓や間仕切りに使われる「ガラス」は、美観や採光、視界の確保に欠かせません。
しかし、ガラスは”ガラスだけで建物の開口部”を完成させることはできません。
なぜなら、ガラスは必ず「サッシ」と呼ばれる枠組みに支えられ、その中でも特に「枠(わく)」と「框(かまち)」がガラスの設置・保護に重要な役割を担っているからです。
目次
ガラスは「孤立」できない材料
ガラスは、繊細な素材のため、強度を補う構造体なしに単独で建物に取り付けることは難しいです。
- 割れやすい性質
ガラスは引っ張り強度や衝撃耐性が低く、荷重や振動に弱い。 - 形状維持と固定の必要性
ガラスは外力を受けると簡単に破損するため、動かずに安全に保持するための「枠組み」が必須。
このため、ガラスは必ず何らかのフレームに「はめ込まれ」て使われます。この枠組みこそが「サッシ」です。

サッシとは何か?枠と框の役割
サッシの構造概要
サッシは、ガラスを囲んで建物の開口部に固定する「枠(わく)」と、その枠内にガラスをはめ込む「框(かまち)」から成り立ちます。
- 枠(わく)
壁や建物の開口部に直接固定される構造体。ガラスと框をまとめて支える土台。 - 框(かまち)
ガラスの周囲を囲む細い枠材で、ガラスの保持や密閉、動作(開閉)に関与。
框は建具の可動部分や固定部の細かな構造を担う。
この「枠+框=サッシ」の構成により、ガラスが安全に機能し、建物の断熱性や気密性を確保できます。

ガラス単体ではなぜ完成しないのか
強度の補強が不可欠
建築用のガラスは強化や複層構造など性能向上が進んでいますが、それでも枠なしに使用できません。
外部からの風圧、振動、温度差による膨張収縮を枠組みで受け止め、ガラスの破損を防ぎます。
安全面の担保
枠と框がない状態でガラスを取り付けると、わずかな衝撃でガラスが外れ落ちたり割れたりするリスクが高まります。
建物の安全性や居住者の安心を守るため、ガラスは枠組み内でしっかり保持される必要があります。
気密性・断熱性・防水性の確保
ガラス単体では隙間が生じ、外気や水の侵入を防げません。
サッシの枠・框は密閉性を持ち、断熱材やパッキンと組み合わせて性能を高めます。
これにより室内環境を快適に保つ重要な役割を果たします。
枠と框はガラスを支える「土台」
枠の役割
枠は建物躯体に直接固定されるため、窓や間仕切りの構造全体の耐久性を支えます。
枠が不十分だと、ガラスを含むサッシ全体の強度が落ち、安全性に支障をきたします。
框の役割
框はガラスの周囲を囲み、その接触面から圧力を分散させてガラスを固定します。
さらに、開閉窓の場合は框にヒンジやレールが設置され、動作性を担保します。
框の設計が適切でないと、ガラスに不均一な力が加わり、破損や機能不良を招く恐れがあります。

ガラス・サッシの協働
枠・框の材質は、ガラスの性能や用途と密接に関係します。
たとえば、
- 断熱性が求められる場合、熱伝導率の低い樹脂製框を使い、ガラスの断熱性能を引き出す工夫が必要。
- 耐久性重視の外装では、アルミやスチール製の枠がガラスを強固に守ります。
- デザイン性を重視する場合は木製框でガラスを優しく包み込み、自然な風合いと機能性を両立します。
これら材質の特性を生かして、ガラスとサッシの組み合わせを設計することが、現代建築の高度化した要求に応えるカギです。

ガラスとサッシは「ワンセット」で考えるべき理由
ガラスとサッシは別々の部材ですが、実際には切っても切れない関係です。
どちらか一方だけを性能向上させても、全体の窓性能は満たせません。
- ガラスの断熱性能が高くても、サッシの枠が熱橋になれば効果は半減。
- サッシが頑丈でも、ガラスが割れやすいと安全性を損なう。
- 美しいガラスを選んでも、框のデザインが調和しなければ外観は台無し。
このため、設計段階からガラスとサッシ枠・框を一体で検討し、建築用途や環境条件に最適化することが不可欠です。

間仕切りや建具の枠・框とガラスの関係性
窓以外の建具や間仕切りも同様に、ガラス単体では成立しません。
室内の間仕切りパネルや引き戸のガラスは、アルミや木製の枠・框に支えられ、
- 安全に設置され、
- 動作性を確保し、
- 室内環境の快適性を維持
しています。
このため、間仕切り設計でも「ガラス」と「枠・框」の協働を理解し、適材適所の材質選択と設計が求められます。

まとめ
枠と框からなるサッシは、ガラスを安全かつ機能的に支える生命線であり、両者は切り離せない存在です。
適切な枠・框の選定と施工が、建築物の安全性、耐久性、快適性を大きく左右します。
今後の建築プロジェクトでも、ガラスとサッシを一体として捉えたトータル設計をぜひご検討ください。
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