昭和型板ガラスは、今や「レトロな美しさ」を象徴する存在となっています。
しかし、昭和期に流通していた特定の柄や金型を用いた型板ガラスは、現在では基本的に生産されていません。
その理由や背景については、意外と知られていない部分も多いのではないでしょうか。
本記事では、昭和型板ガラスがなぜ現在では作れないのか、その特異性と現代における再評価の価値について掘り下げてみたいと思います。
昭和型板ガラスとは?
昭和型板ガラスは、1950年代から1970年代にかけて、住宅や様々な建物で広く使用されていた型板ガラスです。
型板ガラス自体は、ガラスの表面に模様が刻まれたガラスのことを指します。
これにより、光は通しながらも、視線を遮る効果を持つため、浴室やトイレ、玄関、またリビングなど、プライバシーが求められる場所に多く用いられてきました。
昭和型板ガラスの特徴的なデザインは、幾何学模様や草花を模したデザインが豊富で、当時の住宅文化を色濃く反映したものが多く見られます。
また、昭和型板ガラスの多くは「温かみ」を感じさせるようなデザインであり、建物に独特の味わいを加えていました。


💡すりガラスとの違い
すりガラスとは、普通の透明ガラス(フロートガラス)に細かい傷をつける加工を施したガラスです。この加工により、ガラスの向こう側は曇っているかのように、ぼんやりと映り、プライバシーを保護することができます。
昭和型板ガラスが作れない理由
昭和型板ガラスはその製造方法や技術に独自の特徴を持っていましたが、その製造が終了した主な理由は、技術の進化と製造設備の変化によるものです。
昭和型板ガラスは、主に高度経済成長期の1970年代前半まで多く生産され、様々な建物で広く使われました。
しかし、1970年代後半以降、住宅様式や意匠の変化によって型板ガラスの需要が次第に減少していきました。
それに伴い、生産効率やコスト面の課題、金型の維持管理といった問題も重なり、昭和型板ガラスの製造は徐々に縮小していきました。
その背景には、昭和型板ガラスを製造するために使用されていた金型が限られていたことに加え、ガラス製造の高精度化や品質の均一化が進んだことで、従来の型板ガラスに見られた独特の風合いが次第に姿を消していったことが挙げられます。
さらに、製造ラインや設備の更新に伴い、昭和型板ガラス特有の金型は使用されなくなりました。
技術的に再現が不可能というわけではありませんが、現行の製造設備や市場環境において、新たに金型を起こしてまで生産されることはなく、結果として現在では作られていないのが実情です。

現代の型板ガラス
現在でも型板ガラスは存在しますが、昭和型板ガラスと比較すると、模様や製造方法に大きな違いがあります。
現代の型板ガラスは、より均一で規格化されたデザインが多く、製造の精度が高く、視覚的にも均整の取れた模様が主流です。
現代の型板ガラスは、プライバシーを守る役割を果たすだけでなく、バリエーションの豊富さや、機能性も向上しています。
また、現代では製造技術の向上により、従来の手作業に依存していたガラスの加工が機械化され、大量生産が可能となっています。
・ガラスの種類 https://glass-kouji.com/glass-products
現代における昭和型板ガラスの価値
昭和型板ガラスの再評価が進んでいる理由は、単なる「レトロな美しさ」だけではありません。
その独特な模様やテクスチャーには、現代のガラス製品には見られない個性があります。
また、昭和型板ガラスは当時の製造技術や金型精度、品質管理の違いによって、模様や厚みにわずかな揺らぎが生まれていました。そうした要素が重なり合うことで、現代のガラスにはない「温かみのある風合い」として感じられるデザインが生まれていたのです。
現代の住宅や商業施設で、ノスタルジックで温かみのあるデザインを求める声が高まる中、昭和型板ガラスが再評価されています。
その特有の風合いや表情は、現代の建築やインテリアに新たな価値を提供し、他のガラス製品にはない魅力を持っています。

リユースとリサイクルの動き
昭和型板ガラスの再評価には、リユースやリサイクルの観点からも注目が集まっています。
古い建物の解体やリフォームの際に取り外された昭和型板ガラスは、再利用されることなく廃棄されていたことが多いですが、現在ではそれを再利用する動きが広がりつつあります。
昭和型板ガラスを再利用することで、レトロな美しさを取り戻すだけでなく、環境への負荷を軽減するという意味でも大きな意義があります。
また、これによって生まれた新しい製品は、現代の住空間において「個性的で他にはないオリジナリティ」を提供しているのです。
昭和型板ガラスの未来
昭和型板ガラスが再評価され、再び注目を浴びるようになった今、これからのガラス産業において新たな価値を持つ存在となりつつあります。
昭和型板ガラスが持つ独自の美しさと機能性は、これからも新しい形で活かされ、未来の建築やインテリアの中で重要な役割を果たすことでしょう。






























