鏡に映る自分は本当の自分じゃない!? ガラス屋が解説します。

朝、鏡で身だしなみをチェックする。
仕事前、髪型やネクタイを整える。
ジムやエレベーターの中、ふと自分の姿を確認する。

私たちは日常の中で、何度も「鏡の中の自分」と向き合っています。
けれど、ふとこんな疑問を持ったことはありませんか?

「鏡に映っているのって、本当の自分なの?」

実はこの問い、意外にも奥が深く、鏡の構造・光の反射・心理効果など、様々な要素が関係しているのです。

「なぜ鏡の自分は“本当の自分”とは少し違って見えるのか?」を解説していきます

鏡に映る自分は「左右が逆」の世界

まず押さえておきたいのが、鏡は“左右反転した像”を映すという基本構造です。

例えば、自分が右手を挙げると、鏡の中では左側の手が上がっているように見えますよね。
これは鏡が「奥行き方向(前後)」を反転させているために起こる現象で、左右が逆に見えるのです。

つまり鏡に映る自分は、「自分と同じ方向を向いている人」ではなく、“自分と向き合っている人”
それが、私たちの脳に「違う印象」を与える要因になっています。

写真や動画の自分に違和感を覚える理由

スマホで撮った写真や動画を見て、「あれ?こんな顔だったっけ?」と違和感を覚えたことはありませんか?

それは、私たちが日常的に見ている“鏡の中の顔”が左右反転しているためです。
私たちの脳は「見慣れているもの」を自然と“自分らしい”と感じる傾向があります。

この心理現象は「単純接触効果(ザイアンス効果)」と呼ばれ、繰り返し見たものに親近感や好感を持つという性質があります。

つまり、鏡の中で毎日見ている“左右反転の顔”こそが、脳にとっての「自分らしい顔」になっているのです。
そのため、正しい左右で写った写真の自分には、思わず違和感を覚えてしまうのです。

鏡の種類で「色の印象」も変わる!?

実は、鏡の種類によって、映る顔の色味や印象が微妙に変わるというのをご存じでしょうか?

一般的な鏡

一般的な鏡は、通常の「フロートガラス」を使用しています。
このフロートガラスは、ほんのわずかに青緑がかっており、肌の色が少しくすんで見えることがあります。

明るい照明の下や白い壁の近くで鏡を見ると「顔色が悪く見える…?」と感じるのは、実はこのガラスの色味の影響かもしれません。

高透過ミラー(クリアミラー)

一方、アパレル店や美容室などで使われる「高透過ミラー」は、鉄分などの不純物を極力除いた透明度の高いガラスを使用しています。
この鏡は、肌の色や髪の色を自然に映し出すことができるため「照明の色温度」による見え方の差が少なく、より“現実の顔色”に近い印象になります。

店舗で「今日は顔色がいいな」と感じたことがある方は、実は鏡の種類が違ったからかもしれません。


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なぜ鏡の自分は“自分らしく”感じるのか?

私たちが毎日目にする「鏡の中の自分」は、左右が反転している上に、鏡の品質や照明によっても微妙に印象が変わります。
にもかかわらず、多くの人は「鏡に映った自分こそが一番自然」と感じています。

これは先述した「単純接触効果」に加え、鏡の中では“他人の視線”を意識せずにいられる安心感も関係しています。

他人に見られている自分(写真・動画)は客観的な現実。
でも、鏡に映る自分は主観的な“自分との対話”の中にある存在
だからこそ、より“本当の自分”に近いと思ってしまうのです。

本当の自分を知るには?

もしあなたが「他人から見た自分の印象を正しく知りたい」と思うなら、以下のような方法を試してみてください。

・スマホの外カメラ(背面カメラ)で撮影してみる
・三面鏡や、鏡を2枚使って正面の顔を見る
反転を補正できるカメラアプリを使う

このように、鏡と現実の“差”を意識することで、見た目に対する感覚がより客観的に近づいていきます。

まとめ|鏡に映る“自分”も、“他人が見る自分”も、どちらも本当

鏡に映る自分が“本当の自分”じゃない——
そう聞くと少しショックかもしれません。

でも、左右が反転していようと、色味が微妙に違っていようと、それもまた“自分の一部”です。
鏡は、「自分と向き合うための装置」であり、見慣れたその姿こそがあなたを支える存在とも言えます。

ガラスや鏡の世界は、単なる“映す道具”にとどまらず、
人の心理や印象にまで影響を与える、奥深い素材でもあります。

今度鏡を見るときは、少しだけその裏側にも思いを巡らせてみてください。
あなたが見ているその顔には、“物理”と“心”の両方が映っているのかもしれません。

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ガラスや鏡に関するお悩み、ご要望がございましたら、ぜひ足立硝子までご連絡ください。
お客様のニーズに寄り添い、最適なご提案をいたします。


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