防音室に窓ガラスは必要? 設置が必要となるケースとは

近年、防音室の需要は急速に高まっています。
音楽制作や楽器演奏といった従来の用途に加え、テレワークやオンライン会議の普及により、自宅で集中できる環境を求める人が増えているためです。

快適な防音室を作るためには、防音性能はもちろん、採光や換気、そして窓ガラスの設置も重要な要素です。

この記事では、防音室に窓ガラスが必要かどうか、建築基準法を交えて必要となるケース、そして窓ガラスを選ぶ際のポイントについて解説します。

防音室に窓ガラスは必須ではない

結論から言うと、防音室に窓ガラスは必須ではありません。
実は防音性能を重視する場合は、窓ガラスを設置しない方が効果的です。

建築基準法と窓ガラスの必要性

建築基準法では、居室には採光と換気のための窓ガラスの設置を義務付けています。
居室とは、「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されています。

居室
日本の建築基準法では「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されている。天井高、採光、換気などの規定がある[1]。

住宅では、台所、ダイニングルーム、居間、寝室、個室、和室など。

※出典:Wikipedia

そのため、防音室が音楽制作や楽器演奏などの用途で利用される場合、居室としての利用は想定されず、窓ガラスを設置する義務はありませんが、居室としての利用+楽器演奏などの場合では、窓ガラスを設置する義務があると言えるでしょう。

※防音室が居室とみなされるかどうかは、建築基準法で定められた様々な条件を満たすかどうかによって判断されます。
 条件を満たすかどうかは、専門家に確認することをおすすめします。

出典:サウンドプルーフ https://www.soundproof.jp/product/spp_sppdenenchouhu/

防音室の窓ガラスを選ぶ際のポイントとメリット

上述したように、防音室に窓ガラスは必須ではありませんが、防音室を検討する際、「窓ガラスをつけるかつけないか」悩む方も多いのではないでしょうか。

防音性能のみを重視するなら窓ガラスは不要ですが、窓ガラスには採光、換気、閉塞感の軽減、視覚的な情報、緊急時の避難など、さまざまなメリットがあります。

防音室の窓ガラスを選ぶ際のポイントをメリットと合わせてご紹介いたします。

【1. 防音性能】
防音性能は、窓ガラスの厚さや構造、複層ガラスの種類によって異なります。
防音性能を表す指標として、「STC値」や「Rw値」があり、これらの値が高いほど、防音性能が高いと言えます。

・用途別おすすめSTC値
音楽制作・楽器演奏:50~60dB
テレワーク・オンライン会議:40~50dB
集中作業:30~40dB

【2. 採光】
防音室に窓ガラスを設置することで、自然光を取り入れることができ、室内を明るくすることができます。
採光を重視する場合は、大きな窓ガラスを選ぶことができます。

【3. 換気】
防音室に換気扇を設置することは必須ですが、窓ガラスを設置することで、換気効率を向上させることができます。
窓ガラスを開けて換気することで、機械換気よりも効率的に室内の空気を入れ替えることができます。

【4. 開放感】
窓ガラスを設置することで、防音室に閉塞感を感じにくくなります。
外の景色を眺めることができ、気分転換にもなります。
開放感を重視する場合は、視界が開けるような位置に窓ガラスを設置することができます。

【5. デザイン】
防音室に窓ガラスを設置することで、デザイン性を向上させることができます。
さまざまなデザインの窓ガラスを選ぶことができ、防音室をよりおしゃれな空間にすることができます。

【6. コスト】
防音性能の高い窓ガラスは、通常の窓ガラスよりも高価です。
また、窓ガラスの設置には、専門知識が必要となるため、施工費用もかかります。

防音室で窓ガラスを採用している例

「SOUND STUDIO NOAH」の窓ガラスは、高い防音性能と遮音性能により、快適な音楽制作環境を実現しています。
音楽制作に集中できる環境を求める人にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。

出典:SOUND STUDIO NOAH 駒沢:https://www.studionoah.jp/komazawa/fst/
出典:SOUND STUDIO NOAH 野方:https://www.studionoah.jp/book/2020/12/20201208/
出典:SOUND STUDIO NOAH 野方:https://www.studionoah.jp/nogata/gallery/

「SOUND STUDIO NOAH」の窓ガラスは、防音性能と遮音性能に優れた複層ガラスを採用しています。
複層ガラスとは、2枚のガラスの間に空気層を挟んだガラスです。空気層が音を吸収するため、防音性能と遮音性能が向上します。

防音ガラスの種類

・ラミシャット
AGC が提供する防音ガラスです。ラミシャットには、「ラミシャット30」「ラミシャット35」2種類のバリエーションがありそれぞれ厚みや防音性能が変わります。ラミシャットの防音効果は「遮音等級」というものがあります。

T-1からT-4の4つに評価なっておりT-4が最も防音効果が高い性能を表しています。
ラミシャット30は(T-2)で、ラミシャット35は(T-3)程度の遮音等級です。

・ソノグラス
日本板硝子が提供する防音ガラスです。
通常、1枚ガラスでは人がもっとも感じやすい音の周波数域が1から2KHzで窓ガラスの遮音性が低下してくるため、窓ガラスを閉めていても外の音が入ってきます。
しかし、特殊中間膜がその低下を防ぎ、周波数全体にわたる遮音性を向上することができます。

・スペーシア 静
日本板硝子が提供する真空合わせガラスです。
真空ガラスは、中間層が真空になっているため大幅に振動をカットすることができるのですが、そこに合わせガラスが入ることでさらに防音性能を向上しています。

遮音等級は、(T-3)でかなりの防音性能があることがわかります。
また真空ガラスは、断熱性能も非常に高く防音と同時にエネルギー効率も良くすることができます。

まとめ

防音室に窓ガラスは必ずしも必要ではありませんが、採光、換気、開放感、デザインなどの面でメリットがあります。

設置する際には、防音性能やコストなどを考慮し、検討してみはいかがでしょうか。

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