真空ガラスの特徴とメリット|高断熱・高遮音を実現する構造とは

さまざまな建築物で採用されている「真空ガラス(薄型断熱ガラス)」

その名前は耳にしたことがあっても、具体的な特徴や他のガラスとの違いは意外に知られていません。

本記事では、フロートガラス(板ガラス)、複層ガラスとの比較を交えつつ、真空ガラスの基本構造やメリット、注意点まで詳しく解説します。

真空ガラスとは?

真空ガラスは、2枚のガラスの間に「真空層」を設けた複層ガラスの一種です。

一般的な複層ガラスは、ガラス間の空間に乾燥空気やアルゴンガス、クリプトンガスなどを封入しますが、真空ガラスはこの空間をほぼ完全に真空にしている点が特徴です。

真空層は厚さ0.2mm程度と非常に薄く、既存の窓枠にも比較的容易に取り付け可能です。

真空とは?

「真空」とは、空気がほとんど存在しない状態を指します。

完全に空気分子を排除することは工業的に難しいため、圧力が極めて低い状態(負圧)を真空と呼びます。

真空の性質を理解するのにわかりやすい例が「魔法瓶」です。
魔法瓶では、外瓶と内瓶の間に真空層を設けることで、熱の伝導と対流を防ぎ、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま保てます。

真空ガラスも同様の仕組みで、窓を通じた熱の移動を抑え、高い断熱性能を実現しています。

ガラス構成と構造

真空ガラスは以下のような構成で作られています:

  • ガラス構成:外ガラス+真空層(約0.2mm)+内ガラス
  • 真空層保持:マイクロスペーサー(小さな柱)と封止材(樹脂製の栓)で気密を維持
  • 厚さ:1枚ガラスとほぼ同等(6.2mm程度の商品が一般的)

この構造により、熱の伝導や対流を抑えつつ、薄型で既存サッシへの取り付けもしやすいガラスとなっています。真空層が外気の影響を受けにくくするため、結露防止にも効果的です。

フロートガラス・複層ガラスとの違い

ガラス比較表
種類 構造 厚さ 断熱性能 遮音性能 特徴
フロートガラス 1枚の板ガラス 単層 ほとんどなし ほとんどなし 熱や音を通しやすく、単体では断熱・遮音に不向き
一般的な複層ガラス 2枚以上のガラス+中空層(乾燥空気やアルゴンガス) 厚め フロートガラスより向上 ややあり 中空層で熱を抑えるが厚みがあるため、既存サッシに対応できない場合もある
**真空ガラス** 2枚のガラス+**真空層** 薄型(1枚ガラスとほぼ同等) フロートガラスの約4倍、複層ガラスの約2倍 高い 高断熱・高遮音、結露防止、省エネ効果も高い

フロートガラス(板ガラス)

フロートガラスは、製造法により平滑で均一な厚みを持つガラスです。
単体では断熱性・遮音性はほとんどなく、熱や音の影響を大きく受けます。

複層ガラス

複層ガラスは2枚以上のガラスの間に空気層やガス層を設けた製品です。
断熱性能は1枚ガラスの約2倍程度ですが、真空ガラスに比べると劣ります。

真空ガラス

真空ガラスは、複層ガラスの中でも特に薄型で高断熱・高遮音を実現している製品です。
断熱性能は1枚ガラスの約4倍、一般的な複層ガラスの約2倍とされ、結露防止や省エネ効果も期待できます。また、真空層に空気やガスがないため、音の伝わりも抑制されます。


真空ガラスのメリット

  1. 結露防止
    真空層が熱の移動を抑えるため、ガラス表面に結露が発生しにくくなります。
    結露はダニやカビの発生原因となるため、健康面や建材の劣化防止にも寄与します。

  2. 高断熱性能
    伝導と対流をほぼ遮断できるため、室内温度を快適に保ちやすくなります。
    暖房・冷房効率も向上し、エネルギーコストの削減が可能です。1枚ガラスと比べて暖房時の熱流出を大幅に抑え、冷房時の熱流入も軽減できます。

  3. 遮音効果
    空気やガスが存在しない真空層は、音の振動を伝えにくくします。
    特に交通騒音や近隣の生活音の軽減に有効です。共鳴現象が起こりにくい点も大きな特徴です。

  4. 薄型で取り付けやすい
    厚さがほぼ1枚ガラスと同等であるため、既存サッシに対応できる場合が多く、施工が比較的簡単です。
    複層ガラスのようにサッシ交換やアタッチメントを必要としません。

  5. 省エネ効果
    室温変化を抑えられるため、冷暖房の使用量が減り、年間を通じて省エネに貢献します。
    導入初期費用は高めでも、長期的にはコスト削減効果が期待できます。

真空ガラスの注意点

  1. 重量
    2枚のガラスを使用するため、1枚ガラスより重くなる場合があります。
    既存サッシで支えられない場合は、サッシ・枠の交換が必要です。

  2. 導入費用
    複層ガラスよりも価格は高めです。
    ※冷暖房費削減や結露防止効果を考慮すると、長期的にはコストパフォーマンスが良好です。

  3. サッシの結露対策
    真空ガラス自体は結露しにくいですが、サッシの断熱性能が低い場合、サッシ側で結露が発生することがあります。
    この場合はサッシの交換や断熱対策が必要です。

真空ガラスの寿命

真空ガラスの寿命は、真空層を維持できる期間にほぼ相当します。
耐久性の高い材料が用いられるため、数十年単位で使用できることも珍しくありません。
真空層が維持されれば半永久的に使用可能で、一般的な複層ガラスよりも長寿命です。

まとめ

真空ガラスは、2枚のガラス間に真空層を設けた複層ガラスで、断熱性・遮音性・結露防止・省エネ性能に優れています。

初期費用は高めですが、長期的なランニングコスト削減や快適性の向上を考えると導入価値は高いといえます。

住宅やオフィス、店舗での快適な空間作り、省エネ対策に、真空ガラスの検討は有効な選択肢です。
導入の際は、サッシの種類や使用環境も確認し、最適な製品を選ぶことが大切です。

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