全身をしっかり映す鏡、いわゆる「姿見」や「全身鏡」は、代表的なガラス・ミラー製品のひとつです。
しかし、設置後に「足が映らない」「頭が見切れてしまう」といったことが起こるケースがあるかもしれません。
なぜ鏡は十分な大きさがあるのに全身が見えないのか?
実は鏡の高さや設置位置、さらには利用者が鏡の前に立つ位置(距離)が適切でないことが多くの原因です。
目次
全身を映す鏡のサイズと設置高さの基本
基本的に、全身を映すには、鏡の高さが「身長の半分以上」必要です。
たとえば身長160cmの方なら、最低でも80cm以上の鏡の高さを確保することが基本条件となります。
「半分の高さで本当に全身映るの?」と思うかもしれませんが、これは光の反射の法則(入射角=反射角)によるものです。
鏡の高さの半分があれば、実は全身を映すことができるため、設置スペースの有効活用にもつながります。

鏡の下端と上端の高さ設定が全身映りのポイント
鏡の高さだけでなく、設置時には「鏡の下端」と「鏡の上端」の位置が重要になります。
鏡の下端が高すぎると足元が映らない
たとえば鏡の下端が床から80cmの位置にあると、多くの利用者の足先は映りません。
これは、目線の高さと床の中間あたりに鏡の下端があると、足元までしっかり映るためです。
身長160cmの人の目線は約144cm(身長の約90%)なので、鏡の下端は約72cm以下に設置するのが理想的です。
この設置高さを守ることで、足元から頭まで無理なく全身が映る鏡になります。
鏡の上端が低すぎると頭が見切れる
逆に、鏡の上端が低いと頭が切れてしまうため注意が必要です。
鏡の上端は目線と頭のてっぺんの中間より高い位置、身長160cmなら約152cm以上が望ましい設置高さです。
鏡との距離も意外に重要
全身をしっかり映すには、鏡から利用者が立つ距離も考慮しなければなりません。
鏡に近づきすぎると、鏡の枠や周辺の建具が視界を遮り、一部が見えにくくなってしまいます。
理想的には身長の2倍程度の距離を確保すると全身が見やすくなります。
例えば身長160cmの方なら約320cm(3.2m)ほど離れるのが望ましいですが…、現実の室内空間では難しいことも多いと思います。
その場合は、1m〜3mの範囲で無理のない距離を選ぶのがおすすめです。
鏡の設置位置やサイズと合わせて距離感を調整することで、快適な使用環境が作れます。
設置前に「シミュレーター」で確認を
「鏡の下端を何cmにすればいいの?」「このサイズで本当に全身映るの?」
そんな疑問は、計算や感覚だけで判断するのは難しいものです。
そこでおすすめなのが、設置高さや鏡との距離を入力すると映り方を確認できる「姿見・全身鏡|設置計算シミュレーター」です。
身長や鏡のサイズ、設置位置、鏡との距離を入力するだけで、足元や頭が映るかどうかが一目でわかるため、施工計画の精度が向上します。

※このシミュレーターは理論上の計算をもとにした目安です。
実際の鏡の設置や映り込みは、環境によって異なる場合がありますのでご注意ください。
まとめ
全身鏡は大きさだけでなく、設置位置や利用距離のバランスが非常に重要です。
これらのポイントを押さえることで、利用者が快適に使える空間づくりに役立てていただければ幸いです。