足場は、工事の裏方的な存在でありながら、その役割は非常に大きなものです。
安全性、作業効率、品質確保──いずれも足場なしには成り立ちません。
普段、完成した建物だけを見ると、そこに足場があったとは誰も思い出さないかもしれません。
しかし、建物が完成するまでには、必ずと言っていいほど足場が必要とされています。
目次
なぜ足場が重要なのか?
安全を守るために
高所作業では、わずかなバランスの崩れが重大事故につながる可能性があります。
足場を設置することで、作業員の安全を確保し、落下や転倒のリスクを大きく減らすことができます。
足場には手すりや中さん(中桟)が設けられ、作業者が安全・安心して動ける環境が整います。
安全帯の取り付けも可能になり、「落ちない仕組み」を現場に作ることができます。
作業効率を飛躍的に高める
足場がない現場では、ハシゴや仮設の台を移動しながらの作業になり、どうしても効率が落ちます。
足場があることで、移動がスムーズになり、必要な資材や工具も手元に置けるため、作業スピードが格段に向上します。
作業時間の短縮は、結果的に工期全体の短縮にもつながり、コスト面にも良い影響を与えます。
工事品質を確保するため
不安定な足元では、精度の高い施工は難しくなります。
足場によって作業態勢が安定することで、細部にわたる施工精度が向上し、最終的な仕上がりにも大きな違いが生まれます。

高所作業における安全措置
労働安全衛生法第69条(高所作業における安全措置)では、高さ2メートル以上の作業において、作業員の安全を確保するために必要な措置を講じることが義務付けられています。
この安全措置には、転落防止措置や墜落防止設備の設置が含まれます。
具体的には、足場や作業台を使用することで、作業員が安全に作業できる環境を整えることが求められています。
脚立使用制限
労働安全衛生規則第501条では、高さ5メートル以上の作業で脚立を使用することは原則として禁じられており、足場や作業台を使用することが義務付けられています。
脚立は安定性に欠け、転倒のリスクが高いため、高所作業ではその使用を避けるべきです。
このように、安全措置として、転落防止や墜落防止のためにしっかりとした足場や作業台の使用が推奨されています。(出典: 労働安全衛生規則第501条)
ガラス工事でも足場は重要
もちろん、ガラス工事においても足場は欠かせません。
内装ガラスの施工などでは、立ち馬(作業足場)を使うケースも多いですが、
外装工事や高所での施工、足元が悪い場合などでは、足場の設置が必須です。
ガラスは繊細かつ重量のある素材です。
持ち運びや取り付けの際には、常に慎重な作業が求められます。
足場がない状態で無理に作業を行えば、ガラスの破損リスクが高まるだけでなく、作業者自身の安全も脅かされます。
安定した足場があってこそ、ガラスの取り付け位置を正確に合わせたり、微調整を行ったりできるのです。

足場は「完成に残らないが、建物に不可欠な存在」
足場は、建築物が完成すれば取り外され、跡形もなく消えます。
しかし、建物が完成するまでのすべての工程において、なくてはならない存在です。
足場は単なる「仮設物」ではありません。
作業者の命を守り、工事の品質を支え、工程をスムーズに進めるために、極めて重要な役割を果たします。
繊細さと正確さが求められる作業においては、足場の存在が工事成功のカギを握ると言っても過言ではありません。

まとめ
足場は工事の裏方的な存在でありながら、その役割は非常に大きなものです。
安全性、作業効率、品質確保──いずれも足場なしには成り立ちません。
ガラス工事においても例外ではなく、状況に応じて足場が必要となります。
目には残らない存在ですが、建物が完成するまでに欠かせない、大切な役割を担っているのです。
工事を計画する際には、必ず「足場」という視点を忘れず、万全の体制で臨むことが、
安全で高品質な施工を実現するための第一歩となっています。

