冬場、建物の外部には氷柱(つらら)が発生することがあります。
季節的には珍しい現象ではありませんが、ガラスにとっては見過ごせない破損リスクのひとつです。
特に、建物の出入口や通路まわりなど、人の動線に近い位置では、氷柱の落下によってガラスが割れたり、ヒビが入ったりするケースも少なくありません。
目次
なぜ氷柱でガラスが割れてしまうのか
氷柱によるガラス破損は、単に「重たい物が落ちるから」という理由だけではありません。
ガラスは種類を問わず、面での荷重には比較的強い一方、先端のある物が当たるなど点で衝撃を受けると割れやすいという性質があります。
氷柱は先端が細く、落下時の衝撃が一点に集中します。
そのため、見た目ほど大きくない氷柱でも、ガラスにヒビが入ったり、破断に至ったりすることがあります。
さらに冬場は、室内外の温度差が大きく、ガラスには常に熱によるストレスがかかっている状態です。
この状態で外部から衝撃を受けると、通常よりも割れやすくなっているケースがあります。

氷柱が発生しやすい建物の箇所
氷柱は建物全体に均等に発生するわけではありません。
多くの場合、雪解け水や雨水が溜まりやすく、外気にさらされやすい場所に集中します。
代表的なのが、軒や庇などの先端部分です。
また、排水がうまく機能していない屋根や笠木部分でも、氷柱が発生しやすい傾向があります。
ガラス破損だけでなく、安全面でも注意が必要な箇所です。
網入りガラスについて知っておきたい注意点
網入りガラスは、防火性能を目的として、建物の年代に関わらず現在も多くの建物で使用されています。
一方で、内部に金網が入っている構造上、ガラスと金網の熱膨張差によってヒビが発生することがあります。
特に冬場は、昼夜の気温差や室内外の温度差が大きく、ガラスにとっては負荷のかかりやすい環境です。
その状態で氷柱の落下など外部からの衝撃が加わると、割れにつながる可能性が高まります。

実際に起きやすいガラス被害
庇や軒から落ちた氷柱によってガラスにヒビが入ったり、バルコニー先端の氷柱が下部のガラスを直撃したりするケースは珍しくありません。
ガラスが割れると、修理費用だけでなく、仮養生や立ち入り制限など、建物管理上の負担も大きくなります。
ガラスを割らないための具体的な対策
まず重要なのは、建物の中でどこに氷柱ができやすいかを把握しておくことです。
氷柱は毎年同じ場所に発生することが多く、過去の状況を確認するだけでも、有効な予防につながります。
また、雪が降った後や、気温が上がる予報が出ているタイミングでは、定期的な目視点検を行うことが重要です。
氷柱が小さいうちに対応できれば、落下によるガラス破損のリスクを抑えることができます。
さらに、人の動線に近いガラスについては、割れた後の被害を最小限に抑える対策も検討しておきたいところです。
飛散防止フィルムの施工や、ガラス仕様の見直しなどは、その一例といえます。
割れてからでは遅いという現場の実感
氷柱によるガラス破損は、事前にある程度予測できるケースがほとんどです。
それでも、「毎年問題がなかったから」「そこまで危険だと思っていなかった」といった理由で対策が後回しになり、結果的に緊急対応が必要になることも少なくありません。

まとめ|冬前の点検がガラスを守る
氷柱は冬特有の自然現象ですが、建物管理の視点では明確なリスク要因です。
氷柱が発生しやすい箇所を把握し、早めの点検と対応を行い、あわせてガラスの特性も踏まえて安全性を見直すこと。これらを意識することで、冬場のガラス破損リスクは大きく下げることができます。
ガラスは、割れてからでは遅い建材です。ぜひ冬本番を迎える前に、建物まわりを一度確認してみてください。































