ガラスは、光を取り込むための素材という役割にとどまらず、空間の印象や建築の表情を左右する重要な要素として、これまでも建築に用いられてきました。
その中で、安全性や耐久性といった性能に加え、意匠性を備えたガラスが用途に応じて選ばれる場面も少なくありません。
こうした意匠性と機能性をあわせ持つガラスの一例として挙げられるのが、AGCの「セラプリライト」です。
セラミック塗料によるプリントと熱処理を組み合わせたガラスで、装飾性を持ちながら、建築用途に求められる強度にも配慮された製品です。
出典:AGC セラプリライト®
https://www.asahiglassplaza.net/products/cerapri_lite/
目次
セラプリライトの基本的な特長
セラプリライトは、フロート板ガラスの表面にセラミック塗料を用いてプリントを施し、その後に熱処理を行うことで仕上げられます。
プリント部分は焼成によってガラスと一体化しており、塗装やフィルム貼りと比べて、剥がれや色あせが起こりにくい構造となっています。
また、熱処理を施すことで、通常の板ガラスに比べて強度が向上している点も特徴です。
単に見た目を整えるための装飾ガラスではなく、建築用ガラスとしての使用を前提に設計されていることがうかがえます。
意匠性と耐久性のバランス
セラミック塗料を用いたプリントは、紫外線や雨風の影響を受けにくく、屋外で使用される場合でも比較的安定した意匠を維持しやすい特性があります。
ストライプ柄やドット柄など、デザインのバリエーションがあり、建物の外観にリズムを与えたり、視線をやわらかく遮ったりといった使い方も可能です。
商業施設のファサードや、オフィスビルの開口部、内装の間仕切りなど、空間の印象づくりが求められる場面で採用されるケースも見られます。

強化ガラスタイプと熱処理ガラスタイプの違い
セラプリライトには、用途や安全性の考え方に応じて選択できるよう、強化ガラスタイプと熱処理ガラスタイプが用意されています。
どちらも熱処理を行う点では共通していますが、ガラスの性質や破損時の挙動に違いがあります。
強化ガラスタイプ
強化ガラスは、ガラスを高温で加熱した後に急冷することで、内部に圧縮応力を与えたガラスです。
同じ厚さのフロート板ガラスと比べて耐風圧強度や耐衝撃性が高く、安全性が求められる部位で多く用いられています。
破損した場合には、ガラスが細かい粒状に砕けるのが特徴です。
大きく鋭利な破片が生じにくいため、万一の際の負傷リスクを低減できるとされています。
セラプリライトの強化ガラスタイプも、この性質を備えています。
熱処理ガラスタイプ
熱処理ガラスタイプは、強化ガラスほどの応力を与えない処理を施したガラスで、一般的には倍強度ガラスに近い位置づけとなります。
フロート板ガラスより強度は向上しますが、破損時の割れ方は通常の板ガラスに近くなります。
そのため、安全ガラスとしての性能が必須となる部位では強化タイプが選ばれることが多く、
一方で、意匠性や光の見え方を重視したい場合などに、熱処理タイプが検討されることもあります。

設計・施工時の注意点
セラプリライトを含む熱処理ガラス全般に共通する注意点として、熱処理後の切断や孔あけ加工ができないことが挙げられます。寸法や加工内容は、設計段階で確定させたうえで発注する必要があります。
まとめ:意匠と性能を両立するガラスの選択肢
セラプリライトは、デザイン性を持たせながら、建築用ガラスとして必要な性能にも配慮された製品のひとつです。
強化ガラスタイプと熱処理ガラスタイプを用途に応じて使い分けることで、安全性・意匠性のバランスを取りながら計画することができます。
建築においてガラスの表現を工夫したい場面では、こうしたプリントデザインガラスの存在を知っておくことで、設計や提案の幅が広がるかもしれません。































