ガラスに鳥がぶつかる!?バードセーフガラスで守る命と環境

私たちが日常でよく目にするガラス。

建物の窓やショーウィンドウ、大型施設の壁面に使われることも多く、現代の街並みに欠かせない素材です。

しかし、その美しいガラス面が、野鳥にとっては大きな危険をもたらしていることをご存じでしょうか?

なぜ鳥はガラスにぶつかるのか?

飛んでいる鳥にとって、透明で反射するガラスは「壁」として認識されず、何もない空間に見えたり、周囲の自然が映り込んで錯覚したりします。

たとえば、窓に映る青空や木々の姿が、鳥の目にはそのまま飛び抜けられる「空」や「森」と映ってしまうのです。

そのため、鳥は勢いよくガラスに衝突し、ケガをしたり命を落としたりする事故が世界中で発生しています。

日本の上野動物園でも年間数十羽の野鳥が衝突しており、その中には命を落とすケースもあります。

バードセーフガラスとは?

こうした野鳥の衝突を防ぐために生まれたのが「バードセーフガラス」という考え方です。

これは、野鳥が認識しやすい模様や加工を施し、ガラスを見て「ここには障害物がある」と認識させるガラスの総称です。

※「バードセーフガラス」は特定の製品名ではなく、鳥の衝突防止を目的としたガラス全般を指す言葉です。

バードセーフガラスの種類と対策方法

① 製造段階で加工されたバードセーフガラス

海外では特に進んでいる対策で、ガラスの製造時に特殊なパターンやドットをプリントしたり、紫外線に反応するインクを使ったりする方法があります。これにより、鳥がガラスの存在を視覚的に認識しやすくなります。

アメリカやヨーロッパの一部地域では、建築基準に「バードセーフ対応」の規制があり、こうしたガラスの使用が義務付けられているケースもあります。

代表的な製品には、Guardian Glass社の「Bird1st™」、Vitro社の「BirdSmart™ Bird Safe Glass」などがあります。

出典:Guardian Glass「Bird1st™」
出典:Vitro「BirdSmart™ Bird Safe Glass」

② 施工後に貼るシールやテープ(バードセイバー)

一方で、日本ではまだ製造段階での対策は一般的ではなく、後からガラス面に貼るシールやテープによる対策が主流です。

このシールは「バードセイバー(Bird Saver)」と呼ばれ、複数枚を一定間隔で貼り付けることで、鳥が「ここは通れない」と判断し、衝突を防ぎます。

上野動物園でも、このバードセイバーを使って野鳥の衝突防止に取り組んでいます。

上野動物園:クロシロエリマキキツネザル舎
上野動物園:パンダのもり

出典:東京ズーネット

バードセイバーの効果と課題

よく猛禽類のイラストを貼った窓を見かけますが、実は1枚だけでは効果が薄いことがわかっています。

鳥の視覚的な習性を考慮すると、5cm〜10cmの間隔で多数のシールを貼ることが効果的とされています。

しかし、これらのシールは景観を損ねる場合もあり、施設の設計者や管理者には「見た目の美しさ」と「環境配慮」の両立が求められます。

日本での現状とこれからの展望

日本ではまだ法規制がなく、バードセーフガラスの普及は遅れています。

しかし、動物園や自然保護団体ではシールを貼る対策が進んでおり、近年、環境意識の高まりとともに、建築設計の段階からバードセーフを考慮する動きも出てきています。

これからは、街の美観を守りながら、野鳥の命を守る技術や製品の普及がさらに期待されます。

まとめ

野鳥がガラスに衝突してしまう問題は、私たちの身近な環境に意外な危険が潜んでいることを教えてくれます。

今後、日本でも野鳥の安全と美しい街並みの両立を目指し、バードセーフガラスの普及や新たな対策が広がっていくことが期待されています。

私たち一人ひとりがこうした取り組みを理解し、支えていくことが、自然と共生する社会づくりに繋がるでしょう。

お問い合わせ

ガラスや鏡に関するお悩み、ご要望がございましたら、ぜひ足立硝子までご連絡ください。
お客様のニーズに寄り添い、最適なご提案をいたします。

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